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【WEB企画】~With コロナ・Afterコロナ~
「まちづくり会社の存亡と経営」開催報告記事

まちづくり会社がコロナ禍の中でも生き残るため、今こそ自分達の真価を発揮する時だという考え方のもとに取り組んでいるまちづくり会社の姿を知って頂きたい。今回は、四人の代表取締役の話を聞くことで、まちづくり会社のこれからのヒントを得る目的でこのセミナーを企画しました。

今後は、四人の社長の話を深堀する機会を持つ、それをもとにマニュアル化する、さらには、まちづくり会社が共同して、事業や資源を共同、共有するなどを探求していきたいと考えています。
以下の記事では、四人のまちづくり会社の社長の発言を取りまとめました。参考になれば幸いです。

パネラー紹介

ふらのまちづくり株式会社 代表取締役 西本 伸顕 氏

ふらのまちづくり株式会社代表取締役。地域特性を生かした「ルーバンフラノ構想」のもと、観光客と市民の中心市街地回遊、さらに高齢化社会に対応するコンパクトシティ推進を図っている。

株式会社油津応援団 代表取締役 黒田 泰裕 氏

株式会社油津応援団代表取締役。商店街の課題を解決するのではなく、地域の課題を捉え、それらを解決するために商店街という空間の新たな役割・あり方を考え事業推進を図っている。

株式会社まちづくり越谷 代表取締役 井橋 潤 氏

株式会社まちづくり越谷代表取締役。地域商店街の衰退に対し、地域コミュニティの核となるカフェの設置や、創業・副業支援を進め、にぎわい創出と空き店舗対策につなげている。

株式会社みらいもりやま21 代表取締役 大崎 裕士 氏

株式会社みらいもりやま21代表取締役。高い施設稼働率を誇る交流施設運営、複合商業ビル管理、サブリース事業を柱に収益化を図り、まちへの再投資を推進している。

コロナの現状から見えてきたこと

「今、各地域、各社はどんな状態か?」実態や対策をお聞かせください。


飲食店や個店への支援 (地域貢献事業)

油津応援団・黒田社長

油津ランチボックスという油津商店街の飲食店が作るテイクアウト用の弁当を、近隣のIT企業などに販売する事業を行いました。油津商店街の中に IT企業12社をはじめ様々な企業が入っていますが、その皆さんや市民の皆さんにわが社の方で油津商店街飲食店の弁当を確保・集約して、日替わりで弁当を用意しています。市民の方、お店の方、皆さんに非常に喜んでいただきました。

また、活気作りとして、市がけん引するグリーンフラッグ事業があります。自粛解除になってもお客さんが感染を避けるため、来店につながりにくいことがあります。そこで、感染拡大に取り組む飲食店のアピールのため、お店に緑の旗(グリーンフラッグ)を掲げてもらうことにしました。グリーンフラッグは安心感の見える化につながっており、現在、300以上のお店が参画しています。  

グリーンフラッグ
みらいもりやま21・大崎社長

市内、様々な上半期のイベント等が中止になり、それぞれの実行委員会組織に青年会議所や商工会青年部、グループ活動するような様々な組織、そしてみらいもりやま21。これらの主体が行動力を何かに活かせないかと飲食店の前売りチケット制度「みらチケ守山」を上げました。今現在、加盟店80店舗までになり寄付金は目標の3倍以上と順調にきています。    

みらチケ守山
みらチケ守山スキーム
ふらのまちづくり・西本社長

国の制度資金だけでは入金のタイミングによって決済が間に合わないということで、商工会議所が富良野市から5000万円を預かり、早い対応をしています。4月1日から飲食店用のクーポン券2500万円を発行(2割のプレミア付き)しましたが、北海道からの緊急事態宣言により55%の売り上げにとどまり機能せずじまいになりました(有効期間を5月末から7月末まで延期)。
その間、各店舗が共同でテイクアウトの弁当づくり、タクシー会社とコラボで弁当のデリバリーを行うなど自主的な動きがありました。

市と掛け合って独自の新型コロナウイルス感染対策基金による補助金制度を開設(財政調整基金5億円が原資)。事業者持続化支援対策として、売り上げが3割以上減少している事業者に固定費(家賃、水道光熱費の全額)の補助、地元資本のお店のみ50%の割引販売に対する補助金制度創設を提案しました。また観光関連産業従事者確保のための人件費補助をお願いしています。第2波、第3波にも柔軟に対応できる体制を整えて、長期戦に備えます。   

まちづくり越谷・井橋社長

今回のコロナのその対策で我々は越谷テイクアウトマップ・アプリを開発しました。まちづくり専門家の助言の下開発したものです。4月19日に公開をして約1ヶ月になります。現在、加盟している掲載店が110店舗、アクセス数は、一日に1,000を超えます。この事業を通して、我々と飲食店110店舗が新たに繋がったという実感があります。これが今後、我が社の武器になると思っています。

このテイクアウトマップアプリを見ている方に関心を持ってもらえるように、飲食店・店主の動画撮影・編集を先週から社員総出で行っています。動画撮影を通して、飲食店・店主と我々も親しくなります。また、お客様も飲食店に対して親しみを感じ、お弁当を購入につながる。非常に効果的な動画になりました。

また、5月15日からテイクアウトアプリに100円クーポンサービスを付与しています。100円クーポンの原資は、商工会議所の会頭・副会頭、民間などの5者でお金を出して頂いて4,50万ぐらいのものを原資として、お店もお客様の負担もなく利用できるようにしました。
土日あたりですと400件近い利用がありまして、テイクアウトアプリの定着を感じています。

以上の取り組み自体は利益が出ない事業ですが、市民の方に喜んでいただき我が社の認知度を上げると同時に、飲食店・店主からの事業パートナーとして信頼を得られるようにこれからも取り組んでいきます。 

越谷テイクアウトマップ・アプリ

融資の活用、コスト削減など (資金繰り対策)

ふらのまちづくり・西本社長

経産省の持続化給付金、フラノマルシェの休業補償金、国・北海道の無利子融資で急場をしのいでいます。
資金繰りを考える上で、何よりもまず、資金を新たに調達せずにあと何か月ビジネスを続けられるか、つまり会社の資金力をシミュレーションする必要性あります。金融機関からの借り入れでキャッシュを確保するとともに、必要ならば増資も検討します。

コストの見直しにおいて、最大のコストは人件費と賃料になります。人件費を削るのはとても難しく、人の一生を左右する問題です。解雇はあくまでも最終手段。誰かを解雇する前に、まずは全員の給料カットを検討します。

フラノマルシェ外観(ふらのまちづくり株式会社HPより)
油津応援団・黒田社長

固定費をはじめ、財務の見直しを徹底的に行い、キャッシュをまず確保することに努めています。コロナがいつ収束するか未確定なので、仮にむこう一年間この状態が続いたとしても会社を維持できるほどのキャッシュを作ろうと考えています。

借入金について、以前、補助金を活用して大型施設を整備しましたが、会社の方でも借り入れをしています。その借り入れが残っていますが、日本政策公庫の方から手持ち資金を乗せて、長期15年で借り換えをしましょうと提案がありました。さらに3年間据え置きの条件も付けてくれました。

テナントの家賃減免など (サブリース事業対策)

油津応援団・黒田社長

サブリースで油津食堂という、いわゆる屋台村事業を行っています。油津食堂には5店舗ほどテナントがあります。これらのテナントに対して、3月からテナントさんには家賃を3ヶ月半額にすることを決めました。
また、助成金や給付金などの支援制度を情報共有すること、さらに給付金の申請も会社でお手伝いしました。
テナント家賃を半額にする一方で、サブリースですので、私たちの大家さん(マスターリース)がいらっしゃいますが、お願いして家賃・地代を半額にしていただきました。

ふらのまちづくり・西本社長

マルシェのテナントは、まち会社の直営、JAなどのほかに、小規模店舗が12店舗出店しています。小規模店舗に対しては、3,4月は当社でテナント家賃を減免、それ以降は市がしてくれることになりました。そのほかに、事業アドバイス、持続化給付金、雇用調整助成金、市独自の支援策などを紹介しています。

また、小さいお店は固定費が大きくなります。商店街はまちのインフラなので、観光地にとってお店がなくなるのは致命的です。家賃、水道光熱費は市の方にお願いして、独自の助成を出してもらうことになりました。

生き残るために考えていること

「自社が生き残るための取り組み」について聞かせください。

社員・スタッフのスキルアップ(人材育成の強化)

みらいもりやま21・大崎社長

会社人材スタッフがあってこその会社なので、社員スタッフのモチベーション維持が重要です。まち会社の存在価値はまちに地域に必要とされる会社かどうかということ。特にこのコロナという予想し得ない社会状況下の中、まちづくり会社がどういう立ち位置で存続していくか。

それには、モチベーションが高いスタッフが様々なまちの人から情報を吸いあげてニーズを収集し事業化することが大事です。先述のみらチケ守山でも、スタッフが様々な組織とコミュニケーションをとり、ともに事業化につなげました。

コロナ禍以前より、社員一人一人に目標シートを記載してもらい、全員で共有することや、週に一度ZOOM会議を開催することで、職場の違うスタッフの相互理解につなげて、モチベーション向上につなげています。経営陣がこれらの取り組みを全面サポートしようと考えています。  

油津応援団・黒田社長

コロナという危機を迎えて、3年後、5年後、10年後ごとのコロナ禍を乗り越える会社方針を明確に示し共有するということが最初です。
それからビジョンを明確にする。この会社は今から何をやって行くのか、どう金を稼ぐのか、新事業の確立など明確な指針を示しています。

また、若いスタッフが多い当社では、スタッフの不安を取り除くということも大事だと思います。今まで油津商店街の中でカフェ、ゲストハウスの経営、油津Yotten(よってん)いうコミュニティスペースで賃料をいただくとか一つ一つのビジネスモールでスモールビジネスを積み重ね利益を得てきました。しかし、コロナの状況になってくるとその積み上げたものがいっぺんに崩れてしまうことがあります。

これまで、みんな同じ方向を向いておこなってきて、そのことは間違ってない、目指すベクトルを間違ってない。しかし、このようなコロナの状況下では、止めることもあること、状況に合わせた事業を展開を考えていくことでみんな成長するんだよ、ということを若いスタッフに投げかけて話をしてあげるということです。

生き残るためにはというのはなかなか難しいんですけども、もう一度この会社のビジョン方針について、もう1回共有化することが大事だなと思います。

まちづくり越谷・井橋社長

生き残るために、社員全員のスキルアップを図り、収益の柱を確立することが大事だと考えています。
そのためには、このコロナ禍で色んなその得意さんとかいろんな情報を貰ったものをいかに活用するかを考え、決断し、すぐに行動に移すことがポイントと考えています。

新事業の展開、確立

まちづくり越谷・井橋社長

テイクアウトマップアプリに登録している110の店舗とのつながりを活用して、ローカルEC 事業を展開したいと考えています。通販のサイトを我々が個店などに提供して、EC展開していただく事業です。個店が独自で通販サイトを構築しようとすると30万とか40万円掛かってしまいます。それを月々にも格安で利用できるようにアプリを活用して制作をして提供していく計画を立てています。

これの一番のメリットは、コロナ禍により、変化する買い物環境に対応するだけでなく、足が悪くなってちょっと買い物行けない方や、高齢者の方がお店の定番商品を通販で買えるようになるということです。

配送については、一つの配送業者さんに白羽の矢が立っています。飲食店だけでなく、日用品などをお客様に届けるというようなサービスが安い値段で提供することができるよう話し合っています。
我が社としては、まるこWAONというキャッシュレスのカードをローカルECに紐づけて、決済できるようにすることによって、我々が収入を得る仕組みを何とか構築したいなと思っています。

みらいもりやま21・大崎社長

市内、上半期の様々なイベント等が中止になり、それぞれの実行委員会組織に青年会議所や商工会青年部、グループ活動するような様々な組織、そしてみらいもりやま21。これらの主体が行動力を何かに活かせないかと飲食店の前売りチケット制度「みらチケ守山」を立ち上げました。今現在、加盟店75店舗までになり登録給付金があがってきています。

今後は、このひとつのネットワークを収束後にまた違う形で事業やイベントを展開する土台にしていきたい。また、人とお店、お店と寄付者とのつながりこのネットワークを活用して第二、第三の事業を展開していきます。

油津応援団・黒田社長

この会社は今から何をやって行くのか、どう金を稼ぐのかということを今までこの油津応援団、油津商店街の中でカフェを経営したりゲストハウス行ったり油津Yotten(よってん)いうコミュニティスペースで人に集まってもらって賃料をいただくとか一つ一つのビジネスモールでスモールビジネスを積み重ね利益を得てきました。しかし、コロナの状況になってくるとその積み上げたものがいっぺんに崩れてしまうことがあります。

そこで重要になってくるのは、新しいビジネスモデルの確立です。
当社が考える新しいビジネスモデルの確立というのは、外貨を稼ぐことにあります。例えばネット販売や他のまちのコンサルを請け負う事業などを計画しているところです。 

Q&A-社長、もっと教えてください!

大橋コーディネーターから質問

ふらのまちづくりは、行政の出資割合が1.2パーセントと低いが、行政からの受託業務割合が30パーセントと高い。さらに、コロナ禍において、行政とうまく連携して支援を引き出しているように思います。何か秘訣がありますか。
また、みらいもりやま21は、行政の出資割合が20パーセント、行政からの受託業務割合が35パーセントです。コロナへの対策などについて、何か行政と協議や連携を行いましたか?

ふらのまちづくり西本社長の回答

まちづくり会社事業(フラノマルシェ事業)スタート当初より、行政に負担をかけないように、また、市から借りている土地に対してはきちんと賃借料をお支払いするなどを、行政に対して明言してきました。そして、その通りに、当社は純粋に民間主体で事業推進し、結果もついてきました。
このことで、行政から信頼を得ることができ、次の再開発事業につながりました。国の政策資金を活用して保育所を整備するなど、行政とコラボレーションし結果を出すことで、お互いにメリットがありました。
こうした事業推進を通して信頼関係を醸成してきたことが、コロナ対策支援策定において意見交換する素地となり市独自の支援策構築につながったと考えています。

みらいもりやま21大崎社長の回答

コロナ以前から、守山市、商工会議所、まちづくり会社が、毎月、「連絡調整会議」を持ち、各々が地域にできることがないかを話し合ってきました。特にまちづくり会社があることにより、スピーディな情報集約と活用ができています。
具体的には、貸館事業の利用者である市民グループ、会議所の会員、さらに、ゼネラルマネージャーと全国のまちづくり人材との情報交換などから情報を得ています。このコロナ禍では、これらの情報をもとに守山でできることを模索し、行政は、予算措置だけでなくその他でもバックアップしていただく、商工会議所は自身でできることをしていただく。これらを共有しながらスピード感をもった事業展開につなげることが出来ました。

石上コーディネーターから質問

自粛期間中、まちづくり会社の社員の休業をどのように行っていたか教えてください。

各社社長の回答 (まとめ)

直営の飲食店や管理する交流施設など、休業要請に関わる業務は休業せざる得ない状況にあった。社員に対しては、解雇を避けるため、休業補償や、そのための雇用調整給付金の申請などがなされている。

終わりに

大橋コーディネーターのまとめ

4名の社長のお話を伺いし、本当に色々感じるものがありました。

これまで、私は、まちづくり会社に対し、「行政に頼るのではなく、自ら稼いで自立する」。そうすることによって、「本当に必要な事業が自分たちの判断でできるようにもなる」し、「たとえ首長が替わっても生き残ることができる」。こう主張し、そんなまちづくり会社を目指して支援を行ってきました。

ところが、コロナの状況になってみると、「行政から多額の出資を受け、多くの委託事業を受けたほうが安全だ」。「自立するためにサブリースなどを展開するまちづくり会社は、本当に辛い目にあっており、この先やっていける見込みのないのではないか」といった声も聞くようになりました。 

しかし、今日、各社長のお話を伺い、「行政依存か民間自立か」ではなく、まず自分たちの会社の経営を考える。戦略を立て、あらゆる手段で経営を維持し、組織が成り立つような形に持っていく。これができて、初めて、行政ともうまく連携もできるし、また商工会議所などもまち会社に対して支援するという気持ちとになることが良く分かりました。

私自身、こんな状況下でも、地域に役立ち、地域に必要とされる存在になっていくというまちづくり会社の基本姿勢が変わっていないことに、非常に勇気づけられました。

大橋コーディネーター

石上コーディネーターからお知らせ

今日のWEBセミナーは、中小機構の支援メニューである「セミナー型」を用い開催しました。
5月27日現在はコロナの影響で、中心市街地活性化アドバイザーの派遣ができない状況です。
しかし、今回のようにWEBをうまく活用すれば、専門家によるアドバイスやセミナーの実施が、新型コロナウイルスが拡大する中でも可能であることが分かりました。

そこで中小機構では、WEBを活用した支援も提供できるようにいたしました。

例えば、今回の登壇者にもっと話を聞きたいということであれば、今回のようなWEBセミナーを活用することで可能になります。また、地域の課題解決に向けた専門家のアドバイスをWEBで受けることが可能になりました。
ご活用をいただきますようよろしくお願いいたします。

石上コーディネーター