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中心市街地活性化協議会支援センター

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明石発!商店街による大衆演劇専門館「ほんまち三白館(みはくかん)」の取組

ポイント

  • 「楽しみ」を通じて人や地域とつながる機能を発揮
  • 気軽に文化芸術に触れて地域住民同士が交流する機会と場所を創造
  • 買い物だけでない魅力を備えることで中心市街地全体を活性化
場所:
兵庫県明石市
人口:
約29万人(中心市街地人口約7,000人)
分類:
【交流施設】【空き店舗活用】
協議会:
あり
支援策:

商店街まちづくり事業(中心市街地活性化事業)

実施主体:
本町商店街振興組合

1.中心市街地活性化への取組

 明石市では、平成20年9月に明石市中心市街地活性化協議会(以下「中活協」)が設立され、平成22年11月に明石市中心市街地活性化基本計画(以下「基本計画」)が国の認定を受けました。明石市の中心市街地における商業の活性化は、まちづくり会社である明石地域振興開発株式会社が、中心市街地内の各商店街、明石商工会議所、明石市等と連携して進められています。その連携のために中活協の下部組織として商業活性化分科会を設置し、さらにこの分科会内に2つのワーキンググループを設けて商店街連携型イベントの開催や中心市街地回遊性向上の為の集客拠点の開発等について協議しています。

 中心市街地内の商店街では、商店街間の協同及び市民団体等との連携により、基本計画に記載された「春旬祭」「明石まちなかバル」「時のウィーク関連事業」など、地域を挙げての取組が展開されています。

(1)「ほんまち三白館(みはくかん)」整備事業の取組

 平成10年に明石海峡大橋が開通するまでは、淡路と明石を結ぶ主要交通手段は明石─岩屋間の海上交通だったため、JR/山陽電鉄明石駅と明石港の間にある各商店街は大変な賑わいを見せていました。しかし大橋の開通後、乗船客の多くがJR舞子駅(神戸市)を乗り継ぎ拠点とした高速バスに変えたことで明石港における乗船客数は激減し、それに伴う歩行者通行量の減少と周辺商店街の衰退が顕著になってきました。

 明石駅周辺では市街地再開発事業が進められていますが、国道2号線が障壁となり国道2号線以南の「魚の棚」など商店街区域へ人が回遊しにくい事態になっています。また観光資源である兵庫県立明石公園、明石市立天文科学館も明石駅北側に位置しています。

 そこで、本町商店街振興組合が実施主体となり中心市街地の回遊性向上を図るための新たな南の集客拠点とすべく「ほんまち三白館整備事業」が進められています。本事業は成人映画館を改装して大衆演劇場をオープンさせる計画で、平成27年12月開演を目指して整備中です。

 もともとこの地域では数年前から明石市商店街連合会が共同販売促進イベントの一環として明石市民会館に大衆演劇を呼び込んで上演し、地元の女性層に大変な人気を博すなど大衆演劇を受け入れる素地はできていました。従って、「ほんまち三白館」によって、大衆演劇や市民イベントの活用などを実施し、明石港周辺への回遊性を高め、将来的には淡路島からも人を呼びこもうとするものです。

(2)事業計画

施設名称:
ほんまち三白館
施設規模:
木造2階建、床面積 約730㎡
着  工:
平成27年3月
竣  工:
平成27年12月

ほんまち三白館整備事業の推進スキームは下図の通りです。

(3)運営に向けての検討

 現在「ほんまち三白館」運営に向けての会合が、本町商店街振興組合の役員を中心に、明石地域振興開発㈱、明石市なども参画して定期的に開催されています。

 本件のプロジェクトには、中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」)の、まちづくり支援メニューの一つである「中心市街地商業活性化診断・サポート事業」が活用されています。中小機構の職員・専門家も会合に参加し、広報・営業計画、経営・運営計画等について指導・助言を行っています。メンバー間の結束力は固く、お互いの信頼関係の下、熱心で真剣な雰囲気の中での議論が交わされています。
中心市街地商業活性化診断・サポート事業 (中小機構HP) 別ウィンドウで開きます

2.今後の課題

 大衆演劇は、昨今全国的に人気を博し、各地に演劇場ができていますが、「ほんまち三白館」では、地元明石らしさを活かした大衆演劇場を目指す取組が検討されています。 また、大衆演劇には、興行上独特の運営ルールがあり、広報・営業戦略に加えてスタッフが円滑な運営を行うための体制作りが必要です。

3.終わりに

 「ほんまち三白館」では、大衆演劇の公演中日には市民に開放して市民活動の利用や、明石のご当地アイドル「YENA」(イエナ)の活動拠としての利用が計画されており、地元に愛される交流拠点として、中心市街地活性化の新しいモデル事業としての展開が期待されています。

4.まちの概要

 明石市は、兵庫県南部、東経135度の標準子午線上に位置し、瀬戸内海に面して淡路島を望むことができます。気候も温暖で、美しい明石海峡、大蔵海岸公園、兵庫県立明石公園、明石市立天文科学館、明石名物「明石焼」など多くの地域資源に恵まれています。また、産業面では、阪神都市圏と播磨臨海地域、海を挟んで淡路・四国を結ぶ海陸交通の要所として機能しています。

 現在明石市では、都市機能強化の目的で、明石駅前南地区において市街地再開発事業が実施され、商業施設、住宅、道路、歩道橋、駐車場・駐輪場などの整備が景観に配慮して進んでいます。将来的に市民や観光客へのサービスを改善し、便利で満足できるまちづくり、回遊環境を整え「一歩足を伸ばして楽しめる」まちづくりを目指しています。

<取材日 平成27年9月>