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平成30年度四国地域中心市街地活性化協議会交流会(愛媛県今治市)
プログラム
- 日時
平成31年2月4日(月)14時00分~17時30分
平成31年2月5日(火) 9時30分~12時30分 - 開催地
今治市民会館 - 主催
中小機構四国本部、中心市街地活性化協議会支援センター - 会議次第
- (1日目)
- 14時00分~
- 開会あいさつ
中小機構四国本部 部長 武田 和弘
四国地方整備局 建政部 計画・建設産業課 課長 荒金 恵太氏
今治市 産業部 部長 安井 孝氏
- 14時10分~
- 中心市街地活性化支援施策紹介
国の支援施策
①国土交通省 都市局 まちづくり推進課 係長 鈴木 康嗣氏
②四国経済産業局 産業部 商業・流通・サービス産業課 総括係長 衣笠 優子氏
- 15時30分~
- 基調講演
「中心市街地活性化のまちづくりにおけるまちづくり会社の役割」
多治見まちづくり株式会社 ゼネラルマネージャー 小口 英二氏
- 16時30分~
- 中心市街地活性化に係る意見交換
「中心市街地活性化におけるまちづくり会社について」
(進行)中小機構四国本部中心市街地サポートマネージャー 平井 吉信
(助言者)多治見まちづくり株式会社 ゼネラルマネージャー 小口 英二氏
- (2日目)
- 9:30~
- 今治市のまちづくりに関わる概要
今治市産業部商工振興課 課長補佐 越智 貴紀氏
今治市産業部商工振興課 係長 長橋 伸泰氏
- 10:30~
- 平成30年度まちづくり等支援策の紹介
(1)都市再生機構の施策等
都市再生機構 都市再生部業務部 まちづくり支援室 まちづくり 支援第2課 課長 中溝 正樹氏
民間都市開発推進機構 調査計画課長 兼 中心市街地活性化支援室 三本 泰明氏
(2)中小機構の施策
中小機構四国本部、中心市街地活性化協議会支援センター
- 11:30~
- 現地見学(見学終了後、解散)
- 6. 参加者数
50名 - 7. 参加協議会数
9地域
会議概要(1日目)
中心市街地活性化施策の紹介
基調講演に先立ち、国土交通省、四国経済産業局から中心市街地活性化施策の紹介がありました。国土交通省からは都市経営戦略としての官民連携のまちづくりの推進に向けた法制度や財政的支援、情報提供といった様々な取り組み、四国経済産業局からは、地域文化資源を活用した商店街の取り組みやキャッシュレスの推進を支援する施策の紹介がありました。

基調講演 中心市街地活性化のまちづくりにおけるまちづくり会社の役割
多治見まちづくり株式会社 ゼネラルマネージャー 小口 英二氏
多治見まちづくり株式会社は、商業者が中心に出資を募り、それに行政が呼応する形で2001年12月に設立されました。事業基盤としては、駐車場の運営管理を行い、そこから生まれる収益を活用することにより各種事業を展開する予定でした。
しかし、この基盤となる駐車場管理事業の実施が不可能となり、当初考えられていたまちの活性化に役立つ事業はあまり行うことができなくなり、設立に関係していた商業者の方々の意気込みも低下していきました。この状況がおよそ7年間続きます。
2009年に現状を打破しようと、行政、多治見まちづくり会社等の関係者が協議し、商店街活性化につながる新たな事業を推進していくため、行政から「中心市街地活性化に係る調査事業」を多治見まちづくり会社が受託することになりました。
これに伴い、新事業を担当する人材を募集することになり、同年8月に現ゼネラルマネージャーの小口英二氏を採用するに至りました。入社後、小口氏は各方面の関係者に挨拶回りをしました。その中で、小口氏を応援する声もありましたが、お金がかかるから何もしないで欲しいこと、さらには出資金を返して欲しいなど、ネガティブな意見も多くありました。

このような状況を打開する転機となったのはカフェ事業です。カフェ事業のきっかけは、商店街の方々とまちづくり事業についての話し合い場所が無かったことでした。つまり、商店街の店主が営業後に集まれる場所が少なかったのです。
商店街にカフェをつくるには、自分達で運営する方法と外部から入ってもらう方法があります。しかし、空き店舗が目立つ商店街に、テナントとして入ってくれるところはありません。そこで、多治見まちづくり会社が直接運営することにしました。
カフェ設置にあたり、岐阜県の支援制度の活用によりまちづくり会社の従業員を確保するめどは立っていましたが、店舗そのものの改装費は手当てすることができず、大きな問題として立ちふさがりました。
そこで小口氏は、関係者と相談を重ね、多治見まちづくり会社の資本金を使うことを検討しました。しかし、小口氏の入社時の挨拶回りの際、商店街関係者から厳しい声が出ていたとおり、これは困難なことでした。2009年12月の多治見まちづくり会社の取締役会の席で、小口氏はカフェの必要性や予想される効果を説明しました。
その結果、「資本金を部分的に投資に回す」方向が了承され、実現に向け一歩前に進むことができました。しかし、全株主が出資金を事業に使うことに賛成しているわけではありません。そのため、多治見まちづくり会社は、返還を求める株主には全額返還することにしました。
一方で、このままでは資本金が減少してしまうため、出資をお願いする文書を、市内のまちづくり関係者に送付しました。この資本金の補充は、まちづくりに理解ある方々や、地元金融機関出身の多治見まちづくり会社社長の人脈等を活用し満たすことができました。このことは、資本金の補充に留まらず、出資者に多治見まちづくり株式会社の方向性の理解を得たことを意味し、今後の活動に大きな追い風となりました。

こうして、まちづくり会社直営のフェは、「カフェ温土(おんど)」と名付けられ、2010年7月にオープンしました。カフェ温土は、これまで商店街になかったおしゃれな雰囲気で、地元産の食材を中心に丁寧な手作りメニューやカフェに併設されている陶芸工房が人気を集め、安定した収益を生み出しています。
カフェ温土がオープンしたことにより来街者の増加につながり、この影響から、空き店舗への出店希望者が増加するとともに、既存店が商品陳列の改善など新規顧客を取り込む動きを見せました。
カフェ温土がまちづくり関係者の話し合いの場として活用されるようになると、多治見市にゆかりの若手陶磁器作家の作品を陶芸店以外にも展示・販売するイベント「商展街(しょうてんがい)」や陶芸と日本酒を楽しむイベント、まちなか情報誌「A2(あっつう)」の発行など様々な取り組みが生まれました。
現在は、書店を核とした複合施設の整備を進めており、毎週第4日曜日には本をテーマとしたイベントを継続して実施しながら事業の啓発を行っています。


多治見まちなか情報誌A2は、地域の様々な人々の活動を中心として、イベントやグルメ情報などを発信している。具体的には、暑いまちにちなんだスイカのグリーンカーテンの取り組みや五平餅屋各店舗の特長を取材班のレポートとレーダーチャートで伝えるなど多治見ならではの魅力を引き出す形で発信している。
なお、情報誌の編集や取材は、専門業者に委託するのではなく、多治見まちづくり株式会社の社員を中心としたまちづくりプレーヤーが携わっている。
中心市街地活性化に係る意見交換 「中心市街地活性化におけるまちづくり会社について」
中小機構四国本部中心市街地サポートマネージャー 平井吉信(以下、平井サポートマネージャー)進行の下、小口氏や他地域の中心市街地活性化担当者との間で意見交換がなされました。まちづくり会社の運営上の課題など様々な切り口から取り組みの共有やノウハウの交換などが行われました。
会議概要(2日目)
今治市の取り組みについて
「今治市中心市街地活性化について」
今治市産業部商工振興課 課長補佐 越智 貴紀氏、係長 長橋 伸泰氏
まず、長橋氏より、今治市の中心市街地活性化について説明がありました。まず、今治市の産業や歴史から今治商店街の衰退の原因の説明がありました。それに対して、今治市が展開している中心市街地活性化施策についてのコンセプトや具体的な取り組みの説明がありました。そのポイントとして、「まちなか居住の促進を図る取り組み」「まちなかのにぎわいづくりのための取り組み」「まちなかの価値向上のための取り組み」が紹介されました。
「まちなか居住の促進を図る取り組み」については、不動産が市場に顕在化しない課題に対し、まちなか居住支援センターを設立し、まちなか居住希望者や不動産事業者、遊休不動産所有者、さらには建築業者を仲立ちとして機能させる取り組みが紹介されました。また、地価が高いという問題に対する補助金や奨励金の支援といった市の取り組みが紹介されました。
「まちなかのにぎわいづくりのための取り組み」については、まちなか起業や商業空間を活性化させる取り組みとして、フリーマーケット出店から本格的な出店に繋げる取り組みやチャレンジショップ、商住分離を促進する改修費に対して助成する取り組みが紹介されました。
「まちなかの価値向上のための取り組み」については、まちなかの価値を再発見し散策マップを作成、発信する取り組みや、地域おこし協力隊が立ち上げたまちなか活性化サロン、中高生のサードプレイス(※)の紹介がありました。続いて越智氏は地域おこし協力隊員の文章を紹介しました。未来の日本の縮図ともいえる商店街への思いと現状を放置することへの問題提起から参加者は感じるものがあったようでした。
※サードプレイスとは第一の場所(家)と第二の場所(職場や学校)の中間地点にある第三の場所を指します。

平成30年度まちづくり等支援策の紹介及び現地視察
都市再生機構の施策等及び中小機構の施策紹介
都市再生機構 都市再生部業務部 まちづくり支援室 まちづくり支援第2課 課長 中溝 正樹氏
民間都市開発推進機構 調査計画課長 兼 中心市街地活性化支援室 三本 泰明氏
都市再構築及び中心市街地活性化における公的セクターの支援と題して、都市再生機構、民間都市開発推進機構、全国市街地再開発協会、区画整理促進機構の支援について中溝氏、三本氏から紹介がありました。具体的には、調査や人材育成、専門家派遣、事業構築、資金調達などについて各機関の支援内容が紹介されました。
また、中小機構からは中心市街地活性化に関わる支援について、専門家派遣や相談窓口の機能について紹介がありました。
各機関の施策紹介後、今治商店街の現地視察を行いました。
