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地域ブランド構築に向けた取組~燕三条ブランドの確立(新潟県燕三条地域)

課題
  • 地域資源の有効活用
  • 地域ブランドの知名度向上

【地域ブランド構築の背景とビジョン構築】
新潟県・燕三条ブランドの取り組みは、燕三条地域全体の活性化を目指し、燕市と三条市合意の下、平成20年8月からスタートしました。燕市、三条市それぞれが独自に地域ブランド構築の推進を行ってきた経緯がありましたが、都内の展示会などで声を聴くと、燕市、三条市よりも「燕三条」という名称が有名なことがわかりました。そのような背景から「燕三条」ブランドの構築を目指し、現在は、農業、商工業、観光業、サービス業などの各業種が一体となり、この地域をトータルで捉えた燕三条ブランドの確立に向けた具体的活動を行っています。
 経緯としては、平成21年4月に財団法人新潟県県央地域地場産業振興センター(平成22年4月に現在の公益財団法人燕三条地場産業振興センターに改称)内に燕三条ブランド推進室が設置され、同年8月に燕三条プライドプロジェクトプロスペクト(将来ビジョン)が策定され、明確なミッションステートメント、コンセプトが定められました。この背景には、まちのブランドづくりは、地域にあるモノやコトへの魅力に気づき、地域への「愛情」や「誇り」を持つことや、訪れる方への「おもてなし」の気持ちを大切にするという思想があります。

燕三条プライドプロジェクトミッションステートメント
燕三条プライドプロジェクトmission Statement
燕三条プライドプロジェクトコンセプト
燕三条プライドプロジェクトコンセプト

そして、「レストラングループ」「プロダクトグループ」「ツーリズムグループ」「プロモーショングループ」という4つのグループが発足しました。
 
「レストラングループ」
 「食材」のメンバーを中心に、朝の農園での農業体験や朝食を楽しむ 燕三条「畑の朝カフェ」事業を展開し、農園主自身や地元農産物などのブランディングを推進しています。

「プロダクトグループ」
 日本酒に関わる酒器の開発、洋食器・鋳鉄テーブルウェア、キッチンツールのブランド化など製品開発を通して展示会などで燕三条の技術力などのPRをしています。

「ツーリズムグループ」
 「まちあるき」などの着地型(参加型)観光やグリーンツーリズム、産業観光などの事業を通じて燕三条ブランドを体感していただいています。
“燕三条まちあるき”では年間累計500名もの方々が参加されているイベントとなっています。

燕三条まちあるき 別ウィンドウで開きます

「プロモーショングループ」
 燕三条ブランド事業のPR及び「ブランドイメージ」の発信を目的に、「ブランキングアート展」の運営や「こうばのじてん」の制作などを行っています。
・ブランキングアート・・・製造工程で排出される事業排出物、主にブランク材やスクラップと言われる材料等を用いて、創意工夫により新しい作品に生まれ変わらせることで「モノづくりの心と技」を表現し、地域内外へ燕三条を発信する取り組み。

ブランキングアート
ブランキングアート

・こうばのじてん・・・燕三条地域の職人が良く使う言葉を集めた小冊子の辞典。

・こうばのじてん・・・燕三条地域の職人が良く使う言葉を集めた小冊子の辞典。 別ウィンドウで開きます

このように、地域ブランド構築によって地域住民の愛情や誇りの醸成とともに、交流人口の増加を意図しています。
 まちづくりにおいて、地域ブランド向上を目標としている自治体は多いので、燕三条の取り組みは大いに参考になるのではないでしょうか。


 【燕三条「畑の朝カフェ」】
 今回は、公益財団法人燕三条地場産業振興センター(以下、燕三条地場産センター) 産業振興部 燕三条ブランド推進課長の和田さんに協力いただき、「レストラングループ」の燕三条「畑の朝カフェ」を取材しました。
燕三条「畑の朝カフェ」は、燕三条農業のブランド化を目的とし、農家を中心とする異業種連携プロジェクトです。燕三条地域は、肥沃な土壌で食材の宝庫と言われるものの、その価値が消費者に伝わりにくく、地域農業再生には土地の性質、生産者の気質を伝える「仕組み」が必要と考え、多様性と多品目を備えた田畑が魅せる美しいロケーションを有効活用し、“ここにしかない”特別な空間を創造。「農産物の価値は生産現場にある」と位置づけし、農作業体験と農園主との交流、設えられた田畑の癒しの空間を演出し、さらに世界的に評価の高い燕三条製品をトータルにデザインして提供、燕三条地域の魅力を存分に感じてもらえることを軸としているとのことです。
「畑の朝カフェ」を通し、畑が磨かれれば、農家、人が磨かれ、地域が磨かれていく。
人が集まり、交流と経済効果が生まれること、地元に対する誇りや愛着心を醸成していくこととなり、「燕三条ブランド」を促進していくこととなる、という考えが根底にあります。

燕三条「畑の朝カフェ」
燕三条「畑の朝カフェ」

燕三条「畑の朝カフェ」は平成24年6月から開始され、現在では36回の開催を数え、1,100人以上が参加した大人気イベントです。受け入れの制約などで抽選になることも多く、
残念ながら抽選から外れた方からは、お手伝いでもいいので参加したい、との話をいただくこともあり、取材当日も運営ボランティアとして参加されている方もいらっしゃいました。

 今回の開催は、梨や桃などを生産販売する小杉農園(新潟県燕市下児木37)で行われました。
 メニューとしては、以下の通りです。
  ・周辺を散策しながら歴史や地域の紹介
  ・梨狩り体験
  ・農園主からの梨生産などについての苦労や裏話
  ・食事(梨100%ジュース、地元野菜のサラダ(クリームチーズ味噌漬け)、パンケーキ(梨バター、桃のコンポートキャラメリゼ、蜂蜜添え)、
   デザート(梨)、ティー
  ・シェフ(日本料理)の挨拶
  ・梨のドライフルーツ作り体験

燕三条「畑の朝カフェ」風景
燕三条「畑の朝カフェ」風景
梨100%ジュース、地元野菜のサラダ(クリームチーズ味噌漬け)
梨100%ジュース、地元野菜のサラダ(クリームチーズ味噌漬け)
パンケーキ(梨バター、桃のコンポートキャラメリゼ、蜂蜜添え)
パンケーキ(梨バター、桃のコンポートキャラメリゼ、蜂蜜添え)
デザート(梨)、ティー
デザート(梨)、ティー

食材に限らず、テーブル、チェアからナイフ、フォーク、なども全て燕三条製品であり、シェフも普段日本料理店を営む方が行うなどオール燕三条で臨んでいます。
参加者は女性が多く、リピーターが多いとのことです。参加地域も「朝カフェ」の知名度向上とともに、参加者エリアも広がってきています。

燕三条が世界に誇るアウトドアメーカーのチェア
燕三条が世界に誇るアウトドアメーカーのチェア
カトラリーも燕三条の上質な製品を使用
カトラリーも燕三条の上質な製品を使用

このような体験型イベントは、1.参加者と生産者とのコミュニケーションが取れる(信頼度向上)、2.参加者に商品・サービスを知ってもらう(理解度向上)、といったステップにより関係性が構築できるという効果が期待できます。

燕三条「畑の朝カフェ」ホームページ 別ウィンドウで開きます

また、「朝カフェ」を企画運営する燕三条地場産センターの努力も目を引きます。まちづくりにおいては日本版DMO※1が注目されつつありますが、まさに燕三条地場産センターを事務局とした、このような取組は、観光庁が推進する日本版DMOの先駆けたる取り組みであると考えます。

※1 日本版DMO・・・『地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人』
このため、日本版DMOが必ず実施する基礎的な役割・機能(観光地域マーケティング・マネジメント)としては、
(1) 日本版DMOを中心として観光地域づくりを行うことについての多様な関係者の合意形成
(2) 各種データ等の継続的な収集・分析、データに基づく明確なコンセプトに基づいた戦略(ブランディング)の策定、KPIの設定・PDCAサイクルの確立
(3) 関係者が実施する観光関連事業と戦略の整合性に関する調整・仕組み作り、プロモーション
が挙げられます。
 (国土交通省 観光庁HPより)

【まちの概要】
新潟県のほぼ中央、信濃川の流域に位置する燕三条。鍛冶の伝統や鎚起銅器など歴史ある産業は、連綿と伝承されるとともに、近年では利器工匠具や金属洋食器、金属ハウスウェアなどに発展し、国内はもちろん、世界各国に誇る数多くの製品を創り出しています。
これら製品の創出には、多様な加工技術を要することから、プレス加工・鍛造加工・金型製作・精密板金・研磨・表面処理などの技術高度化が図られ、世界有数の高度な技術集積地として、「ものづくり」の伝統はさらなる進化を続けています。
また、信濃川とともに五十嵐川や中ノ口川が流れ、豊かな自然に抱かれた燕三条は食の宝庫でもあります。手間を惜しまず、丁寧に育て上げられた米や野菜、果物は、作り手の「ものづくり」へのこだわりが注ぎ込まれています。
人口:178千(燕市、三条市合算)