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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

稼げるまちづくりセミナー in 金沢

今回の取材は内閣府地方創生推進事務局が実施した「稼げるまちづくりセミナーin金沢」について報告いたします。
内閣府地方創生推進事務局では、地方創生、まち・ひと・しごと創生の実現に向け、地域の稼ぐ力や地域価値の向上を図る「稼げるまちづくり」を推進しています。中心市街地活性化においても「稼げるまちづくり」というテーマはひとつの大きな指針となりうるものです。
今回のセミナーでは「地方創生と遊休不動産の有効活用」をテーマに、4つの先進事例について、現場の担い手から事例紹介をいただきました。

セミナーの様子
セミナーの様子

事例1 金沢町家の有効活用 〜1日1組限定宿【旅音/Tabi-ne】〜

石川県金沢市 「金沢町家の有効活用~1日1組限定宿【旅音/Tabi-ne】~空き家となっている遊休不動産を、市や地域コミュニティと連携して、宿や地域の憩いの場に生まれ変わらせる」というテーマで株式会社こみんぐる 取締役 林 俊伍氏より話がありました。

5,000以上ある、金沢に眠っている空き家をリノベーションし、1日1組限定の宿として運営しており、旅館業法と民泊新法を踏まえて経営されている。外国人観光客をターゲットにしているので、言語対応の飲食店や観光地の紹介など、ソフトも充実されています。

事例2 小松駅南ブロック複合施設(Komatsu A × Z Square)

石川県小松市 「小松駅南ブロック複合施設(Komatsu A×Z Square)~小松駅前公有地を活用した不動産証券化によるホテル・大学等の官民複合施設整備」をテーマに、株式会社青山財産ネットワークス不動産事業本部アドバンテージ・AM企画事業部 部長東川 亨氏より事例紹介がありました。

小松駅前の遊休市有地(百貨店跡地)を活用し、ホテル・大学・子育て支援施設等の官民複合施設を不動産特定共同事業(SPC型特例事業スキーム)により整備を行いました。

このスキームにおいて、開発時に必要となる民間からの資金調達を、地方創生に資する事業への貢献のための投資家からの出資や、地域金融機関による融資など、地元資金も活用した資金調達を実現しています。また、総事業費45億円の約25%相当を国と小松市から支援を受けるとともに、民間都市開発推進機構のまち再生出資により5.4億円の出資を受けました。

市有地の権利については、建物譲渡特約付定期借地権(50年間)が設定され、民間事業者(SPC)に賃貸されており、また民間事業者が建設・所有する施設について、テナント賃貸借に市が積極的に関与するなど官民連携によって事業の安定性信用力向上に寄与しているとの事です。

事例3 紫波町 オガールプロジェクト

岩手県紫波町 「紫波町オガールプロジェクト~駅前公有地での公民連携によるまちづくりを通じた多様な都市機能の集積と地域価値の向上」をテーマに、岩手県紫波町企画総務部企画課 企画主幹 鎌田 千市氏より事例紹介がありました。
紫波町は平成19年より公民連携によるまちづくりを進めており、平成21年には「紫波町公民連携基本計画」を策定しています。オガールプラザ(官民複合施設)を始め、数多くの事業を公民連携で実現しています。

事例4 山ノ内町 WAKUWAKUやまのうち

長野県山ノ内町 「山ノ内町WAKUWAKUやまのうち~湯田中温泉街の再生に向けたインバウンドをターゲットとした遊休不動産活用による起業促進」をテーマに株式会社WAKUWAKUやまのうち監査役・ 株式会社八十二銀行融資部企業支援室 主任審査役 中尾 大介氏より事例紹介がありました。
 地域金融機関としての役割を果たす上で地域活力の創造は重要、地域経済の活性化には「個」の支援では限界がある、「面」の支援が必要、といった背景から長野県の観光にスポットを当て、遊休物件のリノベーションなどによりまちづくりを推進してきました。

特徴として、官民ファンドの活用(REVIC:地域経済活性化支援機構との連携)によるファンドの組成が挙げられます。REVICは旧㈱企業再生支援機構として発足した組織であり、「株式会社地域経済活性化支援機構法」に基づく政府系組織です。基本方針として1.先導的な地域活性化・事業再生モデルの創造、2.地域活性化・事業再生ノウハウの蓄積と浸透、3.専門人材の確保と育成及び地域への還流、を挙げる「地域経済の活性化」を支援するものです。このREVICを活用したファンド組成は地域金融機関の地域活性化施策として今後増えてくると思われます。

事例発表後には4者にコーディネーターの赤井 厚雄氏(早稲田大学総合研究機構 研究員客員教授)を交えパネルディスカッションも行われ、事業のクラウドファンディング活用、空き家の顕在化促進、所有権でなく利用権の活用、まちづくり事業遂行には市区町村担当者の覚悟が重要、などの意見が挙げられました。

まとめ

最後に、内閣府の「稼げるまちづくり」の推進の背景を整理します。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)」(平成28年12月22日閣議決定)では、地方都市において、地域の「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を図る「稼げるまちづくり」を推進し、まちの賑わいと活力を生み出し、民間投資の喚起や所得・雇用の増加等につなげていくこととしています。
公表されている「稼げるまちづくり取組事例集:地域のチャレンジ100」においては、1.空き店舗・古民家等を活用した起業・移住促進、2.伝統的な街並みを活かした集客拡大、3.観光需要を取り込むまちづくり、4.地場産業を核としたまちづくり、5.健康長寿をテーマとしたまちづくり、6.コミュニティの賑わいづくり、を切り口として事例を紹介しています。

 

参考リンク)稼げるまちづくり取組事例集「地域のチャレンジ100」 別ウィンドウで開きます

 

また、平成29年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017改訂版)において、「地方創生に資する不動産流動化・証券化に関する事例集を取りまとめ、地方公共団体や地域の不動産業者、金融機関等への周知を図る」とされたことを受け、内閣府地方創生推進事務局と国土交通省が連携し「地方創生に資する不動産流動化・証券化事例集」をとりまとめ公表しています。

 

地方創生に資する不動産流動化・証券化事例集 別ウィンドウで開きます

 

地方都市において、空き店舗や古民家等の遊休不動産が増加する一方で、地域資源を活用し、新たなしごとの創出、観光振興や健康長寿など、地方で拡大が見込まれるニーズに応じた地方創生の取組が進められているところであり、これらを結びつけ、「不動産の所有と利用・運営の分離」を図るなど、地域に眠る不動産を「稼げる不動産」、「地域価値を高める不動産」に転換していくことが求められています。地方創生に資する不動産流動化・証券化のポイントは以下の通りです。

遊休不動産活用4つの視点
遊休不動産活用4つの視点

まちづくりの手段の選択肢として、不動産の活用はニーズが増え、大きな可能性を秘めた取組になることだと思います。