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「食」の持続可能性確保と表裏一体で進める中心市街地活性化(大分県臼杵市)

6.関係者の声・まちの声

臼杵市産業促進課によると、臼杵市は豊後水道から豊富な魚種が獲れるにも関わらず、これまで水産加工品の品揃えが弱かったそうです。 “臼六オープンラボ”からオリジナルの水産加工品が多種多様に生まれるきっかけになってほしいと考えています。生産者、加工事業者、飲食業者以外に主婦層の利用も顕著で、地域の「食」に興味を持つ一般市民が更に増えていくことが期待されています。また、サーラのリニューアル事業で“二王座歴史の道”側への動線も確保したため、中央通りと背後にある史跡等が多く残るエリアとを繋ぐハブとなって人を引込み、回遊性を生み、観光の中心として機能してほしいと考えています。来街者を更に呼び込み、滞在時間と共に消費金額も増やすための取組みが目下の課題とのことです。

“うすき魚心”を出店した株式会社安東水産の安東幸一代表取締役も長年、豊後水道の魚の売り込みが弱いことを問題視していました。10数年前より東京へも出荷して高評価を得ていたため、地元の人にももっと知ってもらうために飲食店や「魚好き(うすき)」というキャッチフレーズを作り、臼杵の魚を発信してきました。サーラに出店したのも豊後水道・臼杵の魚にこだわること、魚を通して臼杵の良さを発信することが目的にあります。平日は地元から、休日は市外からのお客様が目立つようですが、基本的には地元をターゲットにしているそうです。その地元では、フカがかつて盆の時期に食されていたことを知る人は現在、あまり多くないそうです。湯引きで食すには鮮度が要のため、漁協の協力を得て仕入れたフカを店内の水槽で泳がせ、いつでも“ほんまもん”を客に提供出来るようにしています。それは、単なる美味しさや珍しさだけではなく、臼杵の“魚食文化”の再現と継承であると言っても過言ではないでしょう。安東さんは魚を扱うお店がもっと集まってほしい、生業とする人たちが増えてほしいと考えており、商店街と一緒に盛り上げていきたいと意気込んでいます。

オーガニックレストラン“Rosetta”の創作料理について、原口加奈子店長は旬の“ほんまもん農産物”を使うことにこだわっています。季節的に種類や収穫量が減った際の安定的供給が課題として想定されるため、有機野菜での対応も検討しています。肉や魚を使う全ての料理に“ほんまもん農産物”または有機野菜を入れる徹底ぶりは女性客や子供連れを中心に人気が高く、原口店長は地域密着型のお店にしたいと抱負を語りました。臼杵産米を使用した無農薬ごはんは味噌汁との相性が抜群で、ごはんとみそ汁だけを注文する人もいるそうです。ここでも、地域の「食」を再発見する機会が徐々に増えていくのではないでしょうか。

“臼六オープンラボ”でお正月用のお餅を真空パックに詰めていたのは、市内の藤河内地区から来た遠藤厚子さんと三重野美保さんでした。二人は同地区の婦人グループに所属し、“ふじかわち直売所”を共同運営するメンバーです。良質の竹の産地である藤河内地区の人たちが“うすき竹宵”に協力したことを縁に、中央通りに事務所兼店舗を構えるNPO法人うすき竹宵の軒先に自分たちの商品も置いてもらっています。今まで自宅で加工作業をしていたが、“臼六オープンラボ”のお蔭で数人が一緒に効率よく作業が出来ると、遠藤さんは楽しそうに話してくれました。お餅をつき、乾燥させ、真空パックまでの行程を全て“臼六オープンラボ”で行い、ブライン凍結機を使用して餅を凍らせ、常温での保存状態との比較を行ったそうです。遠藤さんは野蕗や臼杵の名産である筍で水煮を製造したいと話し、その表情から春が待ち遠しいようでした。“臼六オープンラボ”で四季折々の旬の味が多くの人の手で試され、その中からヒット商品が生まれるのもそう遠くは無いことを期待せずにはいられません。