まちなかに開業者を呼び込む!アキテンポ不動産の取組

■取組のポイント

  • 物件の魅力を様々な取組により丁寧に発信
  • まちづくり関係者の一体感
  • 専門人材の積極的な活用
「アキテンポ不動産」ロゴ
所: 東京都青梅市
口: 136,459人(平成28年6月1日現在)
類: 【空き店舗・空きビル】【情報発信】
青梅市中心市街地
会: あり

株式会社まちつくり青梅

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1.背景

東京都青梅市のJR青梅駅周辺では、江戸後期から昭和初期に建てられた、まちの歴史・文化・産業と密接なかかわりを持つ建物(町屋・店蔵・看板建築等)による特徴的な街並みが残されています。

しかし、青梅市の中心市街地では、商業者の高齢化や後継者不足、郊外や多摩地域への大型店舗の出店等、平成14年から平成24年にかけて小売店数、従業者数、年間商品販売額、売り場面積が減少し、商業機能が低下しています。

青梅市では、市街地総合再生計画を策定する一環で、中心市街地の一部(8ヘクタール)について空き店舗の調査を行いました。具体的には、各商店会長の全面的な協力のもと、空き店舗34件を地図上にプロットして整理しました。34件のうち連絡がついた、オーナーもしくは管理者に対して、どの様な条件・状況なら貸してもらえるか、ヒアリングを行いました。そして、中心市街地活性化協議会では、空き店舗を個別に活用するのではなく、エリア全体で統一した活用施策に取り組むという方向性が共有されました。

また、店主に対して、後継者の有無や営業時間等についてアンケート調査を行い、88件の回答を得ました。

青梅駅周辺(仲町・本町・住江町)で店主の年齢及び後継者の有無を調べたところ、後継者がいない60代以上が55%、同じく70代以上が34%という調査結果が出ました。青梅のまちづくり関係者間ではこの数字を将来の空き店舗率として捉え、危機感を持ちました。つまり、店主が70代以上の店舗では10年後、60代以上の店舗では20年後に、空き店舗になる可能性が高いということです。

以上のように、1.空き店舗調査を通じて有力なオーナーとの繋がりができたこと、2.中心市街地における空き店舗増加の危機感が関係者間で共有されていたことを背景とし、空き店舗対策事業「アキテンポ不動産」が生まれました。

2.アキテンポ不動産について

アキテンポ不動産の立ち上げにあたり、平成27年度下半期に中小企業基盤整備機構の中心市街地商業活性化診断・サポート事業(プロジェクト型)※1を活用しました。月に1回の検討会では、事例研究を行うとともに、専門家からのレクチャーを受けながらアキテンポ不動産の事業の詳細を検討しました。多くの地域ではプロジェクト型終了後に事業実施を行いますが、青梅市ではプロジェクト型に並行してアキテンポ不動産を実行に移し、結果を出しました。

※1 中小企業基盤整備機構「中心市街地商業活性化診断・サポート事業」 (新規ウィンドウ表示)

アキテンポ不動産は、株式会社まちつくり青梅(以下「まちつくり青梅」)が市内不動産関係者と連携し、空き店舗のオーナーと開業希望者を繋ぎ、中心市街地に新規開業を増やすことが狙いです。平成27年度は、(1)空き店舗ギャラリーの開催、(2)空き店舗ツアーの開催を行いました。

(1)空き店舗ギャラリーの開催

駅前の空き店舗を利用し、空き店舗ツアーの対象物件6件の情報を見ることができるギャラリーを約2ヶ月間(平成28年1月30日~3月27日)限定でオープンしました。

ギャラリー内はおしゃれな空間が広がる。展示物の紙は、地元の書籍印刷会社より無償で提供されたもの。

空き店舗ギャラリーでは、物件情報を写真や図、模型で展示しました。展示を見て気に入った物件情報のチラシを持ち帰ることもできます。

壁に貼られた物件情報(左)と視認性が高く入りやすい入口(右)

(2)空き店舗ツアーの開催

空き店舗ツアーは、4日間8コースを開催し、約40名の参加がありました。参加者のうち青梅市在住は57%、市外は43%で、8割は事業経験のある人でした。年代は20~70代と幅広いものの、40代以下が過半数を占めました。ツアーに参加できない人への対応を含めると、約50名からコンタクトがありました。

平成27年度の空き店舗ツアーでは、以下の6つの物件が対象でした。

  1. 旧化粧品店
  2. 旧印刷工場
  3. 旧靴店
  4. 元ギャラリー
  5. 青梅駅前ビル1階(旧糸店)
  6. 青梅駅前ビル1階(旧学習塾)

クラウドファンドの活用で物件改修を行った事業主からの説明を熱心に聞く参加者

以上の6物件中、既に2物件が契約を終えて開業済、現在2物件について開業にむけたサポートを進めている。これは、まちつくり青梅が間に入り、貸主と借主のマッチングを重視し、一般的な手数料等を抑えつつ、通常の不動産市場に出てこない物件の魅力を参加者に伝えられたことが大きいと考えられます。物件情報は、ギャラリー、ツアー、Facebookページほか、複数の手段で発信を行いました。

また、青梅市では、行政・商工会議所・まちづくり会社・タウンマネージャーが一体となって取組に参加しています。中心市街地活性化に取組む以前から上層部レベルでも情報共有が図られており、「みんなでやろう」という空気があったとのことです。もちろんそれだけが事業成功のポイントではなく、行政・商工会議所の担当者が実働の権限を持ちつつきちんと庁内調整をしていること、メール等を活用しながらリアルタイムで課題・方針の共有を行っていることなど、青梅市から学ぶことはとても多いと感じました。

まちつくり青梅には、月に1回の経営会議のほか、Facebookのグループページを活用しながら、形式にとらわれず「必要な時に必要な人が集まって決めるべきことを決める」、チーム内の機動力と柔軟さがあります。

アキテンポ不動産の実施にあたっては、専門人材の活用を行いました。平成27年度は中心市街地活性化協議会とまちづくり会社の予算を使い、一級建築士がアドバイザーとして入りました。今後も、随時アドバイザーが入る予定です。

3.今後の取組、期待、関係者の声など

アキテンポ不動産の取組は、28年度も継続して行います。平成28年5月12日には、新しい3物件を追加し、空き店舗ギャラリー第二期がオープンしました。今後の空き店舗ギャラリーの開催情報及び新しい物件情報については、アキテンポ不動産のFacebookページに随時アップされる予定です(参考リンク参照)。空き店舗ツアーも、年に1・2回の定期開催を目指し準備中です。

青梅市では、27年度のアキテンポ不動産の流れを受け、28年度から個別事業主にも適用される空き店舗に関する改修補助制度を創設しました。商工会議所では、平成28年4月1日に東青梅駅前に「おうめ創業支援センター Begin!」をオープンしました。同センターでは、アキテンポ不動産の物件情報を掲示する、まちつくり青梅と連携した開業希望者に支援を行う等も行っています。

そのほか、まちつくり青梅では、開業前の“お試し営業”の場の提供を兼ねて「おうめマルシェ」事業も運営。スーパーマーケットの代わりとなる常設化を目指しており、青梅市の今後の取組に注目です。

4.まちの概要

(1)規模・人口

青梅市は、東京都の多摩地域西部に位置し、東西に17.2キロメートル、南北に9キロメートル、総面積103.26平方キロメートルで、東京都2市3町・埼玉県2市の7市町に隣接しています。市域のほぼ中央を多摩川が西から東へ貫流し、北部には入間川の支流である霞川と成木川が流れています。

平成28年6月1日現在の青梅市の人口は、136,459人です。平成12年まで増加傾向にありましたが、それ以降は14万人前後で推移しています。また、中心市街地の人口は、平成7年の30,475人をピークに平成27年までに 約3,300人減少しています。

(2)交通アクセス

青梅市内には、国道411号が通っています。また、主要駅である青梅駅には、多摩地域の各地域を結ぶJR青梅線が通っています。都心からの所要時間は、自動車・電車ともに約1時間20分です。

(3)まちの特色

青梅市では、江戸城築城のために、青梅の成木村で採れる石灰を運搬した青梅街道(「甲州裏街道」)が通り、青梅宿が発展しました。また、青梅縞をはじめとした織物産業が栄え、戦後には青梅夜具地が全国的に知られるようになりました。

現在は、電子機器などの大手企業が幹線道路沿いに立地し、多摩地域におけるハイテク産業の一翼を担っています。一方で、圏央道と関越道・中央道・東名高速・東北道等の接続により、更なる産業機能の集積や、物流機能の集積が期待されています。

JR青梅駅周辺の特徴的な街並みの保存、映画看板を活用した昭和レトロのまちづくり、青梅宿周辺の景観形成などの取組が行われており、全国的に注目を集めています。

取材日:平成28年5月

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