旭川まちなか回遊の取組みで、にぎわいの創出をめざす

■ポイント

  • まちなか回遊の促進
  • 商店の魅力を市民に伝え、街に人を引き付ける
  • 市民同士が交流する機会を作る
所: 北海道旭川市
口: 345,288人(H28.1.1)
類: 【交流施設】【イベント】【勉強会】【情報発信】
対象地域: 旭川市中心市街地
会: あり
実施主体:

旭川市、旭川商工会議所、旭川まちなかマネジメント協議会、平和通商店街振興組合など

1.まちの状況

旭川市中心市街地活性化基本計画(以下「基本計画」)は、平成23年3月に国(内閣府)の認定を受け、現在、取組みは最終段階に来ています。
 基本計画では、中心市街地活性化(以下「中活」)のコンセプトを次のように定めています。

○歩行者空間「買物公園」が奏でる「集い」のシンフォニー
  ~買物公園を中心軸とした機能集積の促進と、そのための近隣地区との連携・交流~

目標は次の3つです。

目標1.中心市街地に訪れる人を増やす
目標2.中心市街地に住む人を増やす
目標3.観光客の来街を促進する

旭川市中心市街地活性化協議会(以下「中活協」)では、買物公園を軸とした時間消費型の回遊空間を創造するという基本方針に基づき、歩行者通行量をアップすることを目指しています。
 ここでは、中心市街地を訪れる人を増やすための取組みに焦点を当てますが、背景は次のとおりです。

  1. 1)平成16年の「イオンモール旭川西」の開業等、郊外に大型店が出店し、さらに平成21年7月の市中心部に出店していた丸井今井旭川店の撤退等により、来街者(通行量)が大きく減少した。
  2. 2)一方、平成27年3月、旭川駅前にイオンモールが開業出店、また、市が進める駅前再開発事業等が具体的に進展し、駅前と連なる買物公園を取り巻く環境が大きく変わってきた。

大きな変化が追い風になって、これまでなかった駅前広場周辺に人の流れが生じることで、買物客の中心市街地商店街への回遊と賑わいの創出が、さらに加速するきっかけになってきたことも見逃せません。

まず、今までの取組みとして特筆したい点は、丸井今井旭川店撤退後の空きビルの活用策として、平成23年6月にフィール旭川がオープンしました。当初は集客が頭打ち傾向でしたが、その後6階に子育て支援の一環として0歳から小学校低学年までを対象に旭川市の施設「もりもりパーク」を開設、さらに地下にフードコートを設置、生鮮食料品を扱うテナントを入れ、買い物客の滞留時間を延ばすことにより、まちなか回遊にも波及効果が次第に出てきました。

【参考リンク】
フィール旭川 フロアガイド
もりもりパーク
フードコート(アミューズマーケット)

平成27年6月に実施した買物公園通行量の地点別調査結果を、金曜、土曜、日曜3日間の平均通行量で見た場合、フィール旭川前の通行量が23,183人で一番多く、次いで西武B館前21,668人、イオンモール前18,514人でした。以上の3地点が現在、集客の核となっています。

平和通買物公園(旭川市暮らしの便利帳から抜粋・加工)

2.中心市街地の特徴的な取組み

ここでは、同市の数多くの中活事業の中から、目標1に掲載する.中心市街地に訪れる人を増やすための取組みに着眼して、「旭川まちなかマネジメント協議会」(以下「マネジメント協議会」)の活動をクローズアップしてみたいと思います。

旭川市中心市街地活性化協議会組織図(出所:旭川市中心市街地活性化基本計画(概要版))

旭川市では、中活協とは別に、実際のタウンマネジメントを行うために、次の3つの協議会が設置されています。
 そして、中活協、3協議会、行政、商工会議所、旭川まちづくり株式会社は、定例の会議を開催する等、連携をとりながら中心市街地の活性化を推進しています。

  1. 1) 旭川まちなかマネジメント協議会
          各種施設、制度のマネジメント、各種イベントのコーディネート
  2. 2) 旭川まちなか交通協議会
          中心市街地循環バス、買物公園補助交通システムの運行
  3. 3) 旭川まちなか居住協議会
          まちなか住み替え支援等

このうち、“旭川まちなかマネジメント協議会”が、主に賑わいづくり等の取組みを担当しています。

まずは、買物公園の地図をご覧いただき、街のどこにあるか位置関係を確認しましょう。

旭川買物公園ホームページ

まちなかマネジメント協議会とは何かを知るために、まちなか交流館のホームページのまちなかマネジメント協議会について紹介しているページをご覧ください。
 その前に、まちなか交流館館長である平塚さんを紹介いたしますので、下記のHPをご覧ください。平塚館長のあいさつが掲載されています。

まちなか交流館 運営団体について

さきほどの買物公園のHPで商店街マップを開くと、その位置は5条通本通の角にあることがわかります。その向かいには、旭川平和通商店街振興組合の事務所があります。
整理すると、まちなかマネジメント協議会は「まちなか交流館」で実施する下記①から⑤までの事業と付帯する事業も含めて、幅広く街の活性化に取組んでいることがわかります。

旭川まちなか交流館

  1. (1)まちなか交流館の運営事業
    1. 1) 交流館ショップ
    2. 2) チャレンジショップ
    3. 3) ワンティシェフカフェ「サニー」
    4. 4) あさテラス(旭川総合観光情報センター)
    5. 5) 空き店舗相談コーナー
  2. (2)中心商店街イベントプロデユース事業
  3. (3)まいど朝市の開催
  4. (4)まちなかオープンカフェ2015併催「ご当地クイズラリー」の開催
  5. (5)まちゼミの開催

なかでも“旭川まちゼミ”は、平成26年度から継続して実施しています。

旭川まちゼミの様子は、下記のページをご覧ください。

旭川まちなか交流館ブログ

中小機構北海道本部では、平成26年度から継続して“まちゼミ”の準備段階である6月と8月の2回、中心市街地商業活性化診断・サポート事業(セミナー型)によるセミナーを開催するなどして応援してきました。

中心市街地商業活性化診断・サポート事業

まちゼミはご存じのとおり、商店主が講師となって、多くは自店で、専門的な知識や情報、技術等を無料でお客さんに伝える少人数制のゼミナールです。まちゼミの大きな特徴としては、お客さん、店、商店街の三方それぞれにメリットがあるということがあります。お客さんは無料で専門知識を学ぶことができ、店ではお客さんに店の存在を知ってもらうことができます。また、商店街も店を一斉に紹介できる機会ができ、商店街全体のアピールにもつながります。

得する街のゼミナール 岡崎まちゼミ公式サイト

ちいきクローズアップ 「岡崎まちゼミ」取材記事

平成28年2月15日から3月31日まで、平成27年度第3回目のまちゼミを開催するということで、盛り上がっています。
 冬に行うまちゼミは初めてです。北海道でも極寒の地で外出機会が少ない旭川の冬を逆手にとった試みのようです。

当地の特徴としては、語学や食に関するモノづくり。例えば家庭でできるチーズづくりのような講座にも人気が集まっているそうです。

第1回目のまちゼミでは、商工会議所及びまちなかマネジメント協議会からの協賛金と、参加店から参加料1講座につき3,000円を徴収して約25万円で開催したところ、たいへん好評だったため、27年度は中活事業の一つになり、予算化されたそうです。

一人の方が複数の講座に参加するかけもち受講が多くあり、リピーターが増える傾向もあって、講師からクーポンまたはラリーはどうかという提案があり、3回の受講でスタンプを押してもらい、商品をもらえる“スタンプラリー”を導入することで、まちの回遊や来街頻度の向上を図ったとのことでした。

事務局担当者にお聞きしたところ、もともと意欲のある商店主がまちゼミ講師として参加していますが、着実な手ごたえを感じるのか、ますます意欲と参画意識が上がったように見受けられるとのことです。

まちゼミ(狂言の楽しみ方)

● まちゼミの実績
第1回H26.10.1~11.16 25店舗 28講座、参加313名、満足度88%
第2回H27.10.1~11.15  40店舗 40講座、参加409名、満足度97%
第3回は現在、H28.2.15~3.31 33店舗 41講座で実施中です。

3.今後の取組、期待、関係者の声など

まずはまちゼミの講座のひとつとして行われた「まちなかツアー」の写真をご覧ください。
 街に関心のある方に対し、まちゼミ講師となった交流館館長でもある平塚さんがガイド役となり、街に関心を持ってもらうとともに、自発的にガイド役もできる人を養成していくこと、そして次の世代につなげられる人を育てる取組みでもあります。
 旭川まちなかマネジメント協議会の平塚氏が写真を手にして説明しています。
ツアー終了後には、手作りで作成した“まちなかハンドブック”を参加者に無償で配布しています。この一冊で買物公園の今昔がよくわかるようにと大変な手間と時間がかかったそうです。

写真とエピソードで綴る「まちなかツアー」の様子

また、例年行っている定点観測調査で、今回開業したイオンモール前を加えた平成27年度「買物公園歩行者通行量調査」調査3日間平均値によれば、旭川駅から買物公園の4条通までは、通行量は11万5千人余り、買物公園全体を対象にした調査の割合は88.7%、昨年比で2.5%増加したことから、回遊客が戻ってきましたが、4条以北は11.3%になって、格差はいっこうに埋まっていません。この傾向は依然として変わっていないようです。
 最近の傾向は新たな集客ゾーンとして、イオンモール前が賑わい、近隣にその波及効果が徐々に出てきたことがわかりました。
 つまり、中長期的には買物公園全体の通行量は下げ止まりとなってきましたが、買物公園の中での南北間の通行量の格差はさらに広がり課題ははっきりと浮かび上がってきています。

こうした状況を関係者はどう見ているのでしょうか?
 筆者である私も、課題を解決する糸口をどのように探し出して、行動するかたいへん興味を持っています。
 共通認識として、買物公園4条以北のまちなか回遊が課題であり、通行量増加につながる効果的な取組みを常に検討しています。まちゼミを通して、店の個性をアピールしていくことも狙いは同じです。

平塚さんは「買物公園は同じ商店街でも、4条通以北と駅から4条通までとの二面性がある。」と思う。最近は商業施設をテコに買物目的中心で集まるエリアは当然に通行量がアップしてきた。しかし4条以北はそれを目指すのではなく、文化の香り、憩の空間、落ち着いた雰囲気を持つエリアなので、駅前エリアと差別化してまちの活性化を考えていくのが良いのではないかと思っている。」と話されています。

まちなかマネジメント協議会の役割は何ですか?と改めて平塚館長に尋ねたところ、「まちの人たちを巻き込みながら、地域の皆さんが自ら企画運営できるまでの間、きっかけづくり、仕掛けをしているのが今の状況です。」とのことです。
 「実態を言えば、我々は“まちの御用聞き”をしています。こちらがアイデアを提供して、了解を得ながら関係者の多くを巻き込んで行き、出来るだけリスクや負担をカバーしながら周囲の了解を得ていく。ただし、何をやる場合でも、商店主は生業。商人である以上は“うまみ”がなければ乗ってこない。“うまみ”がわかるようになれば、皆さんが一緒になって企画運営まで進めることができるように思います。最近では、様々な取組みの中で、やっと成功事例を積み重ねながら協力者が増えてきたので、手ごたえを感じて来ました。」と語ってくれました。

今回の取材では、まちなかマネジメント協議会を訪問して、平塚館長、平和通商店街の金丸事務局長にお話を伺いました。

4.終わりに

全国にいる読者の皆様には、ぜひ北海道旭川市をお訪ねいただき、有名な旭山動物園を、そして帰りには、旭川買物公園に立ち寄って、旭川の街歩きを楽しんでいただけたらば筆者としては大変うれしいです。どうぞ今後とも北海道旭川市をよろしくお願いいたします。

5.まちの概要

規模・人口、交通アクセスなど

旭川市は、北海道中央部の上川盆地に位置し、大小合わせて160を超える川が流れる「川のまち」で、人口約35万人の北海道第2の拠点都市として道北の都市圏を形成しています。市内近郊には全国的に有名となった旭山動物園をはじめ観光施設が点在し、近年はイオンモール旭川が駅前に出店し、百貨店や専門店など多くの商業施設が集積しています。交通の要衝として主要な国道や高速道交通網も整備されており、現在では札幌市までJRで1時間20分と便も良く、商業、観光においても北海道、道北の中心といえる街です。

<取材日 平成28年2月>

旭川市位置図(出所:旭川市中心市街地活性化基本計画)

 

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