コミュニティ施設の設置をきっかけに、まちなかのにぎわい創出と市民参加のまちづくりをめざす

■ポイント

  • コミュニティ機能強化で商店街のにぎわい創出と世代間交流の促進
  • 市民参加によるまちづくりへの取組
  • まちづくりに女性のネットワーク活用へ


場所: 岐阜県中津川市
人口: 8.5万人
分類: 【交流施設】【イベント】【情報発信】【空き店舗】
協議会: あり
実施主体: 中津川市中心市街地活性化協議会
参考URL: みんなのオアシス まちなかステーションねこのて
http://www.cci.nakatsugawa.gifu.jp/kyougikai/nekonote2.html
http://ameblo.jp/nekonote23/


1.まちの概要

「まちなかステーションねこのて」

 中津川市は、岐阜県の南東部に位置し、市の約8割を山林が占める中山間地域にある人口約8万人の都市です。中山道の宿場町「中津川宿」として栄え、中央本線の開通(明治35年)とともに工業の近代化が図られ、これまで東美濃地域の中心都市として発展してきました。

 中津川市の中心市街地は、平成9、10年に2つの大型店が相次いでまちなかより撤退したことにより、大きなダメージを受けました。さらに若い世帯の市郊外への転出や、中心市街地内店舗のバイパス沿いへの移転などにより、中心市街地の歩行者通行量は46%減、商店数は17%減、人口も16%の減(いずれも平成10年と平成19年の比較)となり、衰退化が顕著になっています。

2.まちの活性化への取組み

(1)まちの課題

 

 中津川市では、こうした課題に取組むために、平成19年12月に中津川市中心市街地活性化協議会(以下「協議会」)を設立しました。平成20年7月には国から中心市街地活性化基本計画の認定を受け、現在、官民の連携を図りながら、以下の事業を主体に中心市街地の活性化に取組んでいます。

  • 「宿場町らしい文化や歴史が広がるまちづくり」をめざした、中山道中津川宿六斎市事業や本町中山道地区整備事業の推進
  • 「元気で活力溢れるまちづくり」をめざした、市民・観光客の回遊促進を図るための「おいでん祭(さい)」などの地域イベントと商店街事業との連携強化
  • 商業の活性化をめざした、商店街を中心とする、花かざり運動、おもてなし運動、一店逸品フェアなど商店街魅力向上事業の推進

 さらに、地域に根ざしている商店街に対し、高齢者や子育て家族への支援、防犯、環境の保全といったコミュニティ機能の担い手としての期待が住民から高まっています。

 これを受け、中津川市においても、コミュニティ機能の拡充を図るために、中心市街地商店街内に新たなまちの交流拠点「まちなかステーションねこのて」(以下「ステーション」)をオープンしました。

 ステーションの運営主体である協議会では、コミュニティ機能の拡充に加え、まちなかの賑わい創出や子育て世代を中心とする世代間の交流を促進するとともに、市民のまちづくりへの参画を促していくこともねらいとして、本事業に着手しました。

(2)ステーションの取組

 ステーションは、中心市街地商店街の空き店舗を借上げ、親子カフェや情報提供コーナー、手作り品販売コーナーなどを設け、平成23年9月にオープンしました。 オープン後は、子育てママを中心に多くの人たちに利用され、順調な滑り出しを見せています。 店名の「ねこのて」は、「ねこのても借りたい」、「おかあさんの手になりたい」、「招き猫のように多くの人を呼び込み交流を図ってもらいたい」という気持ちで名づけられました。

 ステーションでは、まちなかの交流拠点として、以下の事業に取組んでいます。

【親子カフェ事業】
賑わう「親子カフェ」

 子育てママの「こんな場所があったらいいな」を形にした、子供を連れて安心して集える場を提供しています。子供を連れておしゃべりができるカフェ(20席)や子供が自由にのびのび遊べるキッズルーム、オムツ替え室、授乳室などが設けられています。

 明るく、楽しい雰囲気の店内、優しい笑顔のスタッフの応対が印象的で、1日約30名の利用があり、その多くがリピーター客となっています。当市の周辺にこうした施設がないこともあり、口コミやサイトを見て市外からも来店があります。

 また、子育てママからの要望で、スタッフによる幼児英会話教室も開かれ、人気を集めています。

【情報ステーション事業】

 「何でも掲示板」をステーション内に設置し、まちなかのイベント情報、観光情報などを掲示して、情報の発信基地となっています。

 また、ねこのてブログや月1回発行のミニコミ誌により、中心市街地商店街の催しやステーションの活動情報を紹介し、まちなかへの誘導を図っています。

 とくにまちの案内役として、「まちなかコンシェルジュ」を配置し、ステーションに常駐させ、常時まちなかの案内をするとともに、半日バスツアーによる市内の名所、見所のガイドを行い、まちなかをはじめとする中津川の魅力の発信に努めています。

【ハンドメイド雑貨販売事業】
創作雑貨「みんなの店」の様子

 ママさんたちが趣味を活かし、創作した手作り品を委託販売する「みんなのお店」を設けています。現在13名の方から、バッグ、こども服、手芸品、小物類のオリジナリティ溢れる作品の提供があります。どの作品も好評で、オーダーメイドの要望や作り方教室の開催希望も寄せられています。



【イベント企画】
熱い「おやじバンド大会」

 NHKのオヤジバンドライブで、審査員から「オヤジバンドの名産地」と認定された中津川市にふさわしいイベントとして「おやじバンド大会」を平成23年11月に開催しました。当日は、雨天にもかかわらず200名の来場があり、おやじバンドの熱い演奏に、温かい声援が送られていました。

 また「イクメン養成講座」を平成24年2月に開催。イクメン予備軍の若いパパを中心に18名の参加があり、子育ての疑問について熱心な意見が交わされていました。

 こうした各世代を対象にしたイベントの開催をきっかけとして、世代間交流の場であるステーションの認知が進み、中高齢者や若い年代層の来店が多くなってきています。

【村上康成先生絵本作品の展示】
村上康成先生作品展示コーナー

 日本絵本賞大賞受賞の、日本を代表する絵本作家である村上康成先生の作品やグッズの展示販売を行っています。

 中津川市で育ち、中津川を「第2のふるさと」とされている村上先生は、ステーション活動にも関心をもたれ、絵本の楽しさについてのトークショーやサイン会の開催に協力をいただいています。 先生も地元の方との交流を心待ちにされ、毎回楽しい催しとなっています。

 村上先生の作品は、岐阜県内ではここでしか扱っていないことから、ステーションの集客力アップの貴重なコンテンツとなっています。



(3)取組の効果

「イクメン養成講座」の模様

 ステーションの開設により、今までまちなかへの来街頻度が少なかった子育てママたちが足を運んでくれるようになり、ステーション周辺への来街者数が前年比約3割増加するなど、中心市街地での回遊性の向上が図られています。 さらに、ステーション付近の店によっては、来店客数の増加や売上の向上といった効果も出ています。

 またステーションの設置により、協議会では今まであまり接点のなかった子育てママたちに働きかける場をもつことできました。ステーション事業を通して子育てママたちとの交流を図り、まちづくりに参加を促すよう取組んでいます。

4.今後の課題と対応

 

 協議会では、市民参画のまちづくりをめざし、これまで「市民フォーラム」や各地区単位の「市民懇談会」を開催してきましたが、市民の参画意識はまだ十分とは言えない状況です。今後ステーションを活用して、まちなかの情報を、市民とくにまちづくりの新たな担い手として期待している女性層にどう効果的に発信し、まちづくりへの声をどう吸い上げていくかが課題といえます。

 こうした課題について、協議会では現在、ステーションにある子育てママのネットワーク(60名)と創作雑貨提供者(13名)のネットワークをつないで、まちづくりに女性の力を巻き込んでいく考えです。また、商店街のおかみさん会との連携も計画中です。

 ステーションの財政的自立も事業運営において大きな課題となっています。

 現在、親子カフェ事業の売上や委託販売手数料で、水道光熱費、材料費等のコストを賄っていますが、スタッフ(コンシェルジュ1名、カフェスタッフ6名)の人件費や家賃は、市、商工会議所に負担してもらっています。今後、市の支援が減少していくことから、早急に財政的自立が求められています。

 具体的な対策としては、親子カフェ事業では、世代間交流を促進する上でも、現在来店の少ない中高年層を取込み、客数及び売上アップを図っていく計画です。 また現在取組んでいる「ねこのてメール会員」を対象に、親子カフェでのクリスマスイベントなどの季節イベントや新着雑貨の情報を提供し、来店した場合に特典を提供するなど、来店促進を図っていく予定です。

 委託販売事業では、村上先生の作品をアピールし、集客につなげるとともに、創作雑貨提供者との意見交換を密にして、顧客ニーズを踏まえた作品の提供や魅力ある品揃えに取組む考えです。


5.まちの声

 協議会事務局である鷹見中津川商工会議所事務局長は、中心市街地活性化の次のステップについて想いを語られました。「中津川ではこれまで行政と商工会議所を中心に官民協働で、まちの活性化を図ってきたが、今回のステーションの開設をきっかけに、子育てママをはじめ、おやじバンドパパたちや、中高齢者など多様な市民と意見交換をし、参加の機会をつくって今まで以上に市民を巻き込んだまちづくりをめざしていきたい。」

<取材日H23年12月>

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