「多様な人々 × 多彩な取組み」による中心市街地活性化

■ポイント

  • 多様な人材と取組みを中心市街地にシフトさせる
  •  
  • 中心市市街地内において、小さな事業を同時多発的に仕掛ける


場所: 沖縄県沖縄市
人口: 13万人
分類: 【商店街販促】【空き店舗・空きビル】【医療・福祉】【コミュニティビジネス】
協議会: あり
実施主体: 沖縄商工会議所
(一店逸品運動)

特定非営利活動法人まちづくりNPOコザまち社中
(リノベーション事業)

NPO法人こども家庭リソースセンター沖縄
(ファミリーサポート・ジョブカフェ)

買い物代行サービスセンターにこにこ屋
(買い物代行)
支援策: --
参考URL: 沖縄商工会議所
 http://www.okinawacci.or.jp/
特定非営利活動法人まちづくりNPOコザまち社中
 http://koza-npo.com/
NPO法人こども家庭リソースセンター沖縄
 http://npothida.ti-da.net/
買い物代行サービスセンターにこにこ屋
 http://koza2525.ti-da.net/


まちの概要

  • 規模・人口
     沖縄市は、沖縄本島のほぼ中央部に位置し、人口約13万人を有する中核都市です。市域面積の1/3強を米軍施設が占め、戦後嘉手納基地の門前町として発展してきました。

  • 交通アクセスなど
     鉄道がなく公共交通はバスのみとなります。県庁所在地の那覇市から沖縄市へは4社が運行し、高速バスをはじめとする多くの路線があります。また、自家用車も移動手段の中心となっています。
  • まちの特色
     戦後27年間に及ぶ米軍統治下において、沖縄市では従来の地域文化にアメリカを中心とする多様な文化が取り込まれ融合した「チャンプルー文化」の代表ともいえる「コザ文化」が形成されてきました。コザ文化は音楽をはじめとして、芸能、アート、ファッション、食、そしてライフスタイル等に影響を与えています。
  • まちの状況
     沖縄市中心市街地の主な商業集積地区は胡屋(ゴヤ)地区とコザ地区の2地区です。両地区ともに小売販売額や歩行者通行量の減少、空店舗の増加など商業を取り巻く環境は年々厳しさが増し、求心力の低下が著しくなってきています。平成22年度に中心市街地活性化基本計画の認定を受けた沖縄市は現在、県内唯一の認定地域として様々な活性化事業に着手しています。

1.一店逸品運動

(1)事業実施のきっかけ

一店逸品運動研究会

 平成22年度沖縄商工会議所が実施した「プロムナードコンサート事業」は、まちなかで「コンサート」を行い「音楽のまち・沖縄市」を内外にアピールし、中心市街地の賑わい創出を意図したものでした。「一店逸品運動」は「商品券事業」と共に、この「コンサート」に併せて実施することにより商店街への波及効果をねらいました。

(2)事業内容

帯タペストリー

 「逸品」とは、店主が「自信を持ってお勧めできる商品」、「こだわりの商品」、「お客様に満足して頂ける商品」のことを指します。参加店舗で研究会を組織し、ディスカッションや店舗相互観察を積み重ね、お店の強みや特徴等を活かしつつお客様目線に合致させたところで「逸品」は生み出されます。「一店逸品運動」とは上記の活動を継続していくことを言い、商店街を構成する店舗の品揃えを消費者にとって魅力的なものにしていきながら商店街活性化のきっかけづくりとなるよう意図してます。

 平成22年度は様々な業種から24店舗が参加しました。「帯と着物の店 我喜屋」では、従来の腰に巻く帯から視点を変えて、一本の帯を切らずに結んだ「帯タペストリー」を逸品としました。日本文化の香りが漂うインテリアとして米軍関係者を中心に人気の逸品となっています。また、一本の帯を切らずに制作することから、縁起の良いものとしても喜ばれています。「手のひらサイズの太陽光」というキャッチフレーズを付けた「浦崎金物店」の「白色LEDライト」は、携帯できる機能性を生活提案として謳った逸品でした。

(3)取組みの効果

 参加店舗からは、「お店をどうアピールするかを考えるきっかけになった。スタッフ教育にも繋がっている。」「一店逸品運動に参加する各店舗も他の店を紹介し合う体制を整備して、自分たちが運動を大きくしていくこと。」などの前向きな声が聞かれ、「個店の改善」や「商業者間での連帯感醸成」などの効果が表れ始めています。


(4)今後の課題

 「一店逸品運動」は今年度も研究会を重ねています。目下の課題は更なる研究会活動の活性化、参加店舗の増強、一般市民への認知度向上等が挙げられています。

(5)関係者の声・まちの声

「一店逸品運動」の成果を発表する場と位置付けた「逸品ツアー」では、「時間があれば別のツアーにも参加したかった。」と言う参加者もいました。米軍関係者向けのファッション衣料品店に初めて入った人は、「普段はなかなか入れなかったので良い機会になった。主人のタンクトップを買った。安いし、伸びなくて品物が良い。」と喜ばれていました。「後日またLEDライトを買いに行った。知人、友人、家族に配った。先日の台風で停電になった時役に立って喜ばれた。今度は大きいLEDライトがほしい。」という人もおり、消費者が商品、商店、商店街へと繋がっていく「きっかけづくり」が今後も期待されます。

2.胡屋地区リノベーション事業

(1)事業実施のきっかけ

 特定非営利活動法人まちづくりNPOコザまち社中(以下「コザまち社中」という)は中活協議会の都市系に位置付けられ、事務局を担っています。胡屋地区リノベーション事業は長期間に渡って借り手がつかない物件や老朽化した物件のうち条件に合意した家主と定期借家契約を結ぶところから始まりました。 

(2)事業内容

ゴザ・ゲート・アパートメント1階店舗

沖縄市中心市街地の背骨となる国道330号線の胡屋バス停前に位置するコザ・ゲート・アパートメント(以下「KGA」という) は、胡屋地区リノベーション事業で整備した施設の一つです。2棟の建物(鉄筋コンクリート造3階建て)を一体的にリノベーションして、「くらしを遊ぼう」をコンセプトに親子で楽しめるお店を集めた商業施設(主用途)です。1階は県内の人気ショップのブースが並んだ集合セレクトショップ(20店舗)で、アパレル、バッグ、靴、子供服の古着などの他、オリジナル手ぬぐい、アクセサリー、陶器などハンドメイド製品も置かれています。2階はカフェとイベントスペース、3階はショウルームを兼ねたインキュベーションスペースとNPO支援センター(公共)が入居しています。

 また、胡屋地区リノベーション事業ではKGAの他にも、コージーセントラル(家具店)や後述のファミリーサポート・ジョブカフェが入居した空店舗物件のリノベーションを手掛けています。

(3)取組みの効果

 先行的に整備したKGAを見て、商店街の中からリノベーションをしたいという声が数件上がってきました。また、長年の懸案事項であったアーケードの改修について商業者のモチベーションが上がってきたことも、胡屋地区リノベーション事業の波及効果が出たものであるとコザまち社中は分析しています。

(4)今後の課題

 コザまち社中では、KGA店舗部分の管理運営について専門性を高めることと、他の物件所有者からも高まりつつあるリノベーションのニーズに対して実効性のある事業計画を組み立てることが今後の課題となっています。

(5)関係者の声・まちの声

 「KGAのセレクトショップは商業者のアライアンスを組むことも意図している。いずれは中心市街地に出店ほしい。」とコザまち社中では期待を寄せています。

3.ファミリーサポート・ジョブカフェ

(1)事業実施のきっかけ

ファミリーサポート・ジョブカフェ正面

 白いアーケードと街路樹が印象的なパークアベニューは、かつては米軍相手の歓楽街として賑わっていました。現在では雑貨などの個性的な店舗や飲食店が並んでいます。その一角に今年度、特定非営利活動法人「こども家庭リソースセンター沖縄」が運営する「ファミリーサポート・ジョブカフェ」がオープンしました。これまでは、市庁舎の中で2ヶ年間に渡って就労支援センターの業務を市から受託して行っていたのがこの度、商店街に開設して業務範囲等を拡大した形になりました。

(2)事業内容

HOLOHOLO ROOM

 「ファミリーサポート・ジョブカフェ」は特定非営利活動法人「こども家庭リソースセンター沖縄」が沖縄市から委託を受け、1階のファミリーサポートセンター「HOLO HOLO(ホロホロ)ルーム」及び2階の「ジョブカフェ」の運営に、各々の専門スタッフがあたっています。

 「HOLO HOLOルーム」では、就職活動をする場合は3時間無料で、商店街での買物の場合は500円で(レシート提示で300円)、文化活動等に参加する場合は割引価格で、子どもを預かっています。

 ファミリーサポートセンターでは、保育園児の送迎や一時預かりなど、親の仕事と育児の両立支援を行っています。

 ジョブカフェでは、求職者と企業のマッチング、職場体験、ジョブコーディネーターによる職業選択サポートなどの若年者就職支援及びマザーズ(ファザーズ)ジョブカフェ事業を行っています。

 特定非営利活動法人「こども家庭リソースセンター沖縄」では、上記事業の他にも高齢者の家事や外出支援などの生活介護事業も展開しています。

(3)取組みの効果

 取材時はオープンして未だ間もない時期でしたが、「HOLO HOLO(ホロホロ)ルーム」に子どもを預けに来る利用者が徐々に増えています。

(4)今後の課題

「ファミリーサポート・ジョブカフェ」の場所や活動内容を多くの人に認知してもらうこと、施設を活用してもらうこと、地域との交流や連携を促進していくこと等が当面の課題として挙げられます。

(5)関係者の声・まちの声

 與座(よざ)理事長によると、全国初「育児も介護も就労支援も行うファミリーサポートセンター」として充実を図っていきたいとのことです。また、沖縄市は外国人居住者も多いことから、外国人家庭も子どもイベントにコミットさせるプログラムやシルバー世代との交流事業も考えています。具体的には、「子育て広場」や「保育施設」を「まちなか」につくることです。福祉施設が商店街に入ってきた意義は、地域との連携にあると考え、様々な交流を創り出し活性化に寄与したいと構想を膨らませておられます。

4.買い物代行

にこにこ屋店内

(1)事業実施のきっかけ

 コザ地区の銀天街は日用品、食料品を中心とする市場的な雰囲気を持った商店街です。数年前からは移住してきた若手アーティストグループとの協働や、「食とアートと交流のまちづくり」をテーマに活性化に取り組んでいます。この銀天街において「にこにこ屋」は平成22年5月に、沖縄市からの受託により「買い物代行事業」を開始しました。

(2)事業内容

にこにこ屋店内レンタルボックス

 商店街の空店舗を活用した「にこにこ屋」は、1階部分を「商店街交流サロン」として、2階は「にこにこ屋」の事務室として運営しています。「商店街交流サロン」には、自由にくつろぐことが出来る休憩スペース、商店街で買ったお弁当などを食べられるフードコート、アーティストグループが中心になって行っているコザ銀天大学のピアノ教室、朝ご飯の会(毎月第2日曜日)など多くの活動や機能に対応しています。また、1区画30cm×30cmのレンタルボックスが設置され、地域の人たちが持ち込みで作品や商品等を陳列・販売(代行)も行われています。

 「買い物代行事業」は周辺地域(約5km圏内)を対象に、電話で注文を受けた商品を調達して、自転車またはバイクで配達しています。原則、どのような商品でも、銀天街以外のお店の商品でも注文を受けており、1回あたりの代行料は一般が500円、会員が350円になっています。年間20回以上利用する場合は会員(年会費3,000円)に入会した方が割安になるそうです。

(3)取組みの効果

 主な利用者は近隣の高齢者層で、利用頻度の高い人では、週に3回以上利用しているそうです。昼時および夕時の弁当や総菜の注文が多く、自炊が大変と感じている人の利用傾向が高いと平良店長は分析しています。利用者からの「助かる」という一言と、自身が活動することによって地域の人たちが住みやすい場所になればという想いで事業を継続しています。

(4)今後の課題

 今年度からは自主採算で運営を行っており厳しい経営状態にあります。利用者数を増やすために、事業の認知度を上げることと内容の充実を図ることが課題となっています。

(5)関係者の声・まちの声

 平良(たいら)店長は、「一人一人の満足度を上げて、信頼を得ることが必要。今使ってもらっている利用者には不自由をさせないこと。」と語り、今後は「健康」をキーワードに福祉との連携による総合的なサポートへと展開していきたいと抱負を述べられていました。



取材を終えて

 沖縄市中心市街地では今後も精力的に多くの人が、多様な事業に取り組んでいくことが期待できます。各々の取組みが相互に連携し合い相乗効果を生んでいくことは偶発的な産物ではなく、計画的にマネジメントされたシナリオの延長上に構築されるものと思われます。このマネジメントを誰が中心になって行っていくのか、どのように継続させていくかが沖縄市の大きな課題のように思われました。

<取材日H23年5月>

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