暮らしとエンターテインメントの融合施設 ~「MAXふくしま」~ 福島市

■ポイント

  • 福島市中心市街地の旧百貨店撤退ビルが2010年11月25日に、商業施設としてリニューアルオープンし、生まれ変わりました。
  •  
  • アクティブシニアセンターを中心に、多くの市民が気軽に時間をすごすことができる質の高い空間を提供しています。


場所: 福島県 福島市
分類: 【空き店舗・空きビル】
人口: 29万人
協議会: あり
実施主体: (株)福島まちづくりセンター
参考URL: http://www.fmcnet.co.jp/machicen/machi.html



まちの概要

  • 規模・人口
     福島市は福島県中通り地方北部、宮城県と接し、吾妻連峰と阿武隈高地に囲まれた福島盆地に位置する面積約770k㎡の県庁所在地です。人口は約29万人(2010年10月)で、2002年をピークに横ばいで推移しています。


  • 交通アクセスなど
     東北新幹線が縦貫し、山形新幹線の起点となっており、また東北縦貫自動車道、国道4号など、主要道路が四方に伸び、首都圏と東北圏を結節点となっています。


  • まちの現状
     福島県の県庁所在地として政治、経済、文化、教育の中心となっています。 一方、仙台市との関係は近年密接になり、東北新幹線や在来線で仙台に通勤・通学する市民も多く、文化面においても仙台市への依存傾向が強くなっています。さらに、高速バスや快速列車の増発もあり、買回り品や専門品を仙台市で購買する傾向が生まれ、福島市中心部の空洞化が懸念されています。

まちの課題と活性化の取り組み

事業の課題

 1990年代以降、郊外の幹線道路沿いにスーパーマーケット、ホームセンター等の大型店が大量出店し、2005年には、福島駅北側に位置する当該ビルからも、東北地方一円で営業しているさくらの百貨店が撤退しました。

 また、一方で、中心市街地の販売額は10年前に比べ50%近く減少し、同じく売り場面積は20%程減少する厳しい状況にあります。

事業の目的

 こうした状況を踏まえ、約5年間、空きスペースとなっていた百貨店フロアに、官民一体となって、地域商圏のニーズに応えた住まいと暮らしをコンセプトにした地元キーテナントと既存テナントのエンターテインメント性の充実を促進し、多世代間の交流により暮らしに豊かさを与え、中心市街地の活性化の拠点としてにぎわい創出にふさわしい商業施設を目指してきました。

具体的な方法

 当該ビルは6階建てで5階以下にテナントが入居し、駐車場と合わせて述べ床面積約58,000㎡の大型施設です。5階はワーナー・マイカル・シネマズ福島のシネマコンプレックス(複合映画館)等が百貨店撤退後も入居していますが、1~4階は空いたままの状態でした。

 ビルの前所有者は、大手不動産会社でテナント確保のための努力をしてきましたが、難航し、その後、地元で官民一体となり再生を検討し、2010年3月に国から認定された中心市街地基本計画にも当該ビルのテナントの誘致が盛り込まれました。基本計画の認定を踏まえ、福島市の第三セクターである株式会社福島まちづくりセンター(以下「呼称 まちづくりセンター」と記述。)が不動産会社から土地・建物を取得し、事業目的に添ったフロアー構成を計画し、テナント誘致を行ってきました。

 当該ビルの4階は、市が賃借、運営する世代間交流施設「A・O・Z(アオウゼ)」が入り、アクティブシニアから若者・幼少年者までもが集い、活動できる多目的ホール、スタジオ、会議室等を計画しました。市は4階を運営していくにあたり、民間からも館長を招聘し、また公共施設でありながら施設利用者の物販も可能にし、商業施設に沿った柔軟な運営をしています。

MAXふくしま


 このような、市とまちづくりセンターの当該ビルの買取り・運営といった中心市街地に対する積極的姿勢が、結果として、民間会社のテナント誘致を後押しすることになりました。

 1・2階(述べ床面積約12,000㎡)には、南東北を中心にホームセンターを展開するダイユーエイト社が出店しました。当社社長は、「地元企業としてこのビルを何とかしたい。住まいと暮らしのカテゴリーキラーを目指す」と、郊外でホームセンターを展開する同社が都心型新店舗で中心市街地の空洞化対策に乗り出す形となりました。1階には食品、2階には家庭用品を中心にフロアーを占め、郊外で出店しているホームセンターとは別の業態で営業します。

 3階には、来場した家族が楽しめる室内巨大遊園地の他、生活雑貨、玩具等の専門店フロアーが入居しています。 当該施設のこのようなバランスが取れたテナント構成は、まちづくりセンターと福島市が協力し、選定・誘致を行ってきました。

ダイユーエイトMAX

 オープンしたビルの愛称は、一般募集し、「MAXふくしま」と称することとなりました。応募総数227点の中から選ばれ、「まちなかの活性化に最大限貢献する施設となってほしい」と意味が込められています。

 収支計画は、当該施設の償却期間を15年とし、金融機関からの借入金の返済を含め、テナント賃料を設定しています。テナント企業に対しては公的な家賃補助金等は出していません。

フロアー構成

まちづくりセンターとしての役割

 まちづくりセンターが当該商業施設の管理・運営を行っています。まちづくりセンターは、既に、共通駐車場券事業、共通ポイントカード事業、商店街空店舗テナントミックス事業を中核事業として実施しています。従業員が6名と限られた人手の中、中心市街地活性化のために、各事業をバランスよく遂行していくことの難しさもあります。

 「MAXふくしま」は、年間延べ150万人の来場を見込んでいる中、これまでも中心市街地活性化事業で重要な役割を担ってきたまちづくりセンターが中心となり、大勢の来客者を、街なかにどう循環させるかの仕掛けをつくっていくことが一層重要となっていきます。


取り組みの効果

 2010年11月25日オープンから11月28日までの4日間で、来客者数は15万人を超えました。取材した日は、オープン以降、初めての週末だったこともあり、3、4名の家族単位で訪れているお客様が多かったです。家族単位で訪れる顧客層は、滞在時間も1~2時間と比較的長い特徴があります。また、ビル全体でも来場者の多くに休憩を取っていただけるよう、ベンチが多く設置されています。4階の自習室は21時まで開放し、中高校生の間では、評判が良く、満席の状態でした。

 また、「MAXふくしま」がオープンするに際して、ビル全体で150名を超える新規雇用を創出することとなりました。


今後の課題

 福島県駅東口は正面に、老舗の百貨店が本店を構え、駅ビルには、JRグループの商業施設が、西口には大手スーパーが存在します。駅からやや離れた北側に位置する当該ビルは南北軸を形成する核施設として、福島市側も重視しています。商圏としては、福島市を中心に県北全域に今後拡大していく中、当該商業施設のコンセプトでもある「地域ニーズに応えた住まいと暮らしの店づくりと多世代が交流しエンターテインメントの創造ができる場所」をベースにし、周辺の既存施設とは違う魅力を打ち出していくことが求められています。

 また、収益事業として成功するためには、福島市を中心に、まちづくりセンターを含めた、運営、営業、管理体制といった継続的な運営ノウハウを早期に確立していく必要があります。

 地元、福島では、ナショナルブランド、娯楽を求め、東京、仙台に出かけてしまう市民が多い中、市の交流施設である4階「A・O・Z(アオウゼ):アクティブシニアセンター」を中心に市民が楽しめるイベントの企画・立案もさることながら、地元資本のテナントが比較的多い「MAXふくしま」が、そうした顧客の現状・要望をも満たしていくことができるかも問われていきます。

 現在、福島市では、基本計画掲載事業の目玉でもある他商業施設が建設中で、2011年2月にはオープン予定です。 中心市街地活性化の取組みは、「MAXふくしま」の開店と併せて、新たな局面を迎えています。



<取材日H22/11/27>

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