戦略的に補助金を活用「街なかテナントミックス」 ~会津若松~

■ポイント

  • 撤退大型店の主要テナントを商店街の空き店舗へ誘致
  •  
  • 統一的な外観デザインによる魅せる店舗
会津若松市の鶴ヶ城


場所: 福島県 会津若松市
分類: 【空き店舗・空きビル】
協議会: あり
人口: 13万人
実施主体: (株)まちづくり会津
参考URL: http://www.aizu.ne.jp/tmo/tenantmix/index.html



まちの概要

会津のマスコットキャラ「あかべえ」
  • 規模・人口
     会津若松市は福島県西部の会津地方に位置し、磐梯山や猪苗代湖などに囲まれた面積約380k㎡の都市です。人口は約13万人で、近年では減少傾向にあります。


  • 交通アクセスなど
     会津地方の東西を結ぶ磐越自動車道、国道49号と南北を結ぶ国道121号などの道路が交差しており、鉄道に関してもJR磐越西線、只見線、会津鉄道会津線が集まっており、会津地方の交通の要所となっています。


  • 「あかべえ」がペイントされた電車「あいづライナー」
  • まちの現状
     江戸時代には会津藩の城下町として盛え、戊辰戦争に象徴される鶴ヶ城や白虎隊など、歴史上の事物が観光資源として有名です。また、漆器や日本酒の名産地としても有名ですが、現在は専門的なコンピュータ教育・研究環境を有する会津大学に代表されるように、IT産業の発展にも力をいれています。

まちの課題と活性化の取り組み

(1)課題・問題

 会津若松市の中心市街地では平成20年11月「会津サティ」の撤退表明、平成21年5月に地元百貨店である「中合会津店」の撤退表明と会津経済に打撃を与える事態が立て続けに発生しました。この中心市街地活性化基本計画の核となる大型店の撤退は、経済だけではなく、これからのまちづくりにも大きな衝撃となりました。

(2)活性化の取り組み

このような状況の中で、会津若松市、(株)まちづくり会津、会津若松商工会議所などの関係機関は入居テナント・ショップの撤退防止や売上額の郊外流出阻止策について協議を行い、『街なかテナントミックス事業』を実施し、空き店舗解消を目指すことになりました。

『街なかテナントミックス事業』とは「会津サティ」及び「中合会津店」の閉店に伴う中心市街地の空洞化を防止し、賑わいを緊急的・戦略的に再生することを目的に、“商店街全体を1つのデパート”のように見立て、空き店舗のシャッター改廃、照明・ショーウィンドーの設置など統一的なデザインで改修してテナントを誘致し、商業機能を維持するとともに「魅せる店舗」により明るい商店街形成を図るものです。

(3)具体的な方法

(株)まちづくり会津は、「中合会津店」の主要テナントを中心市街地内にある神明通りや中央通り、大町四ツ角などの商店街の空き店舗へと誘致しました。

 その際には、会津若松市中小企業振興条例「商店街空き店舗対策補助金」による3年間の家賃補助(1年目2/3、2年目2/1、3年目1/3)と会津若松市の戦略的中心市街地賑わい再生事業補助金(1億円程度)によるファサード整備資金の全額補助を活用しました。

 そして、商店街内の既存店舗に対しても中小企業庁の中小商業活性化支援補助金(4千万円程度)を活用し、ファサード整備を実施し、統一的なデザインに改修しました。

 改修内容としては、店舗の一階部分を統一した色彩や自然素材、ガラスなどを使用した店舗外観とし、正面にはショーウィンドーを配し、照明を設置、可能な限り非シャッター化を進めるなど視覚的な演出によって消費を促進するように努めることとしました。

 また、通りの活気と賑やかさの演出を失わないように、各店舗が午後11時まで夜間照明をつけるという演出も行っています。



ジャンルネ改修前改修後


鈴乃野改修前改修後

3.取り組みの効果

 『街なかテナントミックス事業』により、16店舗の空き店舗が埋まり(うち「中合会津店」のテナントは13店舗)、17の既存店舗がファサード改修しました。空き店舗が解消され店舗が統一されたことにより、商店街内での回遊性が高まっています。オープニングセレモニー時には、2万人が商店街を訪れました。大型店の撤退により中心市街地への来客数は大幅減が予想されましたが、この取り組みにより市街地歩行者数は平日で10.9%の増、休日においては26.5%の大幅増となり、これまで以上の賑わいが創出できました。

 また、夜間照明店は通りの活気・賑やかさの演出を失わないためのものでしたが、閉店後も何の店だか分かるという宣伝効果とともに夜間に安心して商店街を歩けるという安全性の向上も生み出しました。




解消された空き店舗

4.今後の課題

 百貨店内のテナントと商店街の路面店では店づくりなど経営方法が異なるので、百貨店から誘致したテナントへのフォローが必要となります。 また、現在、一時的に駐車場となっている「会津サティ」の土地を中心市街地の基本計画認定に向けて、計画にどのように落とし込んでいくかが課題となっています。


5.関係者の声 まちの声

 大型店の撤退によりデパ地下の生鮮食品などの業種が無くなることが不安視されていましたが、特に女性から「残って欲しい業者が残ってくれた」と感謝の声があがっています。また、今回の事業で商店街に誘致されたカフェには連日、客が集まり盛況で、商店街買い物客の休憩の場となっており、大変喜ばれています。


6.取材を終えて

 (株)まちづくり会津のご担当者にお話を伺ったところ、成功のポイントはスピードであるとのことでした。「会津サティ」の閉店からわずか9カ月の間ですべての事業を達成したのは民間の株式会社だからこそであり、行政や国にないスピード感と実行力こそがまちづくり会社の強みのようです。



<取材日H22/8/11>

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