まちづくり会社と行政・会議所・地元不動産会社が連携したテナントミックス

■ポイント

  • まちづくり会社と行政・会議所・地元不動産会社が連携し、空き店舗を解消。
  • テナントミックスを促進するために、まちづくり会社に相談窓口と情報を一元化。
  • テナントミックスの一層の効果を上げるために、毎週末にイベントを実施。
公共交通のターミナル大分駅
場所: 大分県大分市
分類: 【空き店舗・空きビル】【イベント】
人口: 47万人
協議会: あり
実施主体: 大分まちなか倶楽部
参考URL: http://www.machinaka.info/
http://www.i-bunbun.com/index.html





まちの概要

大分駅前中央通り
  • 規模・人口
     大分市は、九州の東端、大分県沿海部のほぼ中央に位置する東九州の中核都市で、人口は約47万人(平成22年6月)、県人口の約40%が集中する県庁所在地です。
  • 交通アクセス
     JR大分駅は、日豊本線をはじめ3線が乗り入れるターミナル駅で、JR九州管内第4位の乗車人員を誇っています。またJR大分駅周辺は広域的な路線バスネットワークの中心でもあります。高速道路は市域を東西に貫通する形で大分自動車道が通り、東九州自動車道が大分市を通り宇佐~佐伯間ですでに開通しています。
  • 現状と課題
     大分市は、戦後、新産業都市として重化学工業を中心に発展し、近年ではIT関連企業が進出するなど東九州の経済活動の一大拠点となっています。 これまで県都・中核都市にふさわしい都市基盤の整備に取り組んできました。とくに平成12年に中心市街地活性化のため、旧基本計画を策定し49の事業に取組み、定住人口の回復など一定の成果をあげました。しかしその後は商店街の空き店舗が増えるなど中心市街地の空洞化が進み、中心市街地活性化の課題解消までには至りませんでした。

事業内容

(1)これまでの取組み
賑わいを取り戻しつつある商店街

 こうした状況を踏まえ、平成20年4月、まちづくり会社である大分まちなか倶楽部と大分商工会議所が設置者となって、大分市中心市街地活性化協議会が設立されました。更に同年7月には、大分市中心市街地活性化基本計画が国の認定を受けました。 南北市街地の一体化を図るインフラ整備等のハード事業と 「復活する商都・おおいた」を目指した商業活性化等のソフト事業など57事業が計画され、取り組みを進めております。


(2)テナントミックスによる空き店舗対策

1.事業の概要

まちなか週末イベントプロジェクト

 大分市においても、郊外への大型SCの出店、高速道路網の 整備、消費者ニーズの変化などにより、中心市街地の商店街が 衰退し空き店舗が増大していました。こうした中で中心市街地 商業活性化の中心的役割を担っているのがまちづくり会社です。  まちづくり会社では、「まちなか週末イベントプロジェクト 事業」や「まちなかコンシェルという情報発信事業」など様々 な活性化策に取組んでいます。

 なかでも「テナントミックス事業による空き店舗対策」では、空き店舗への出店希望者の窓口機関として「まちなか出店サポートセンター」を立ち上げ、空き店舗の解消を図るとともに、消費者に求められる業種をまちなかに誘導する戦略的なテナントミックスを行っています。



【「まちなか出店サポートセンター」の取組み内容】

まちなか出店サポートセンター

・商店街店舗構成調査、商業購買実態調査など、これまでに蓄積してきた地域のマーケティングデータ(立地別の購買層・客単価・座席回転率などのデータ)をもとに出店希望者と事業計画を立案。

・事業計画にマッチする空き店舗を不動産会社等からの情報により紹介。

・出店者が改装費(上限100万円)及び家賃(上限10万円/月)の助成を受けられる市の「商都復活支援事業補助制度」を紹介し、申請をサポート。

・出店後はまちづくり会社運営ポータルサイト(「アイぶんぶんひろば」)においてPRの支援。



賑わいを取り戻した「大分マート」

2.取組み効果

 こうした取組みの結果、空き店舗への出店相談件数は、平成22年3月末までの1年6ヶ月で333件にのぼり、そのうち50店を開業に導きました。 ガレリア竹町商店街では空き店舗率を約2年間で、15.5%(平成20年1月度)→11.8%(平成22年1月度)に低減化させるなど、中心市街地商店街空き店舗率の改善を図っています。 また、通り全体の6割が空き店舗だった大分マートに「食」をテーマとした業種を出店させ、再生を果たしました。さらに地元デベロッパーの新大分土地がパチンコ店跡の中古ビルをリノベーションした「wazawaza」へも飲食店やエステ、アロマなど商店街に不足していた業種を誘致してきました。



再生した「wazawaza」

3.取組みのポイント

(ⅰ) 出店希望者がどの機関に相談に行っても、まちづくり会社に誘導される体制を確立できたことが最大のポイントといえます。



取り組みポイント

 出店希望者が物件相談を不動産会社へ、開業相談を商工会議所へ、補助金相談を行政に行っても、必ずまちづくり会社に誘導され、相談窓口と情報が一元管理化される仕組みを構築しました。これにより各機関バラバラの空き店舗対策から、一元化された情報にもとづく戦略的なテナントミックスが可能となりました。



市民参加の週末イベント

(ⅱ) また、物販促進型イベントから街の形成に影響を与えることができるイメージアップイベントへ修正、こうしたイベントを商店街・大型店と連携しつつ、週末に連続開催してきたことや市民参加型イベントの増加によって、週末の賑わいを取り戻そうしています。 こうした取り組みによる人の流れがテナントミックス事業の後押しをしているのもポイントです。 まちなかを「笑って愉しむ場所」「とにかく毎週末に何かがある街」とイメージしてもらい、まずは消費目的外で人に街へ回帰いただくことを最優先に取り組んでいます。


 この結果、中心市街地の歩行者通行量はこれまでの減少傾向から、平成21年度には前年度比2.7%増に転じ、また中心市街地での滞留時間も短縮から伸長傾向に転換しました。  現在では週末イベントが広く認知され、市民やさまざまな団体の主体的な参加もあり、賑わいが戻りつつあります。こうしたにぎわいの再生との相乗効果により、テナントミックスによる不足業種の誘致も促進されています。

4.苦労した点

 苦労してきたことは全てスキーム作りのようです。 大分市の空き店舗対策事業をベースとしたテナントミックス事業のスキームや商店街・大型店・各種団体・企業・行政が一体となって進めるまちなか週末イベントプロジェクトのスキーム、街というプラットフォーム上で行なわれるこうした事業スキームの頂点にまちづくり会社を据えることが最も大変だったようです。 しかし、この事業スキームにより、現在、まちづくり会社へは日々様々な相談や事業が舞い込んでいます。 街で何かを考える時、必ず向かう先にまちづくり会社があるようです。

今後の課題と対応

 今後、中心市街地を再活性化するには、テナントミックス事業を更に深めて、まちなかの魅力を向上させる有力テナントを誘致できるかが大きな課題となります。この課題に対応するには、的確かつ有用な地域、商店街、個店のデータの収集システムの構築が不可欠です。 現在、まちづくり会社では平成22年12月にスタートする公共交通系のICカードが中心市街地の商業と連携できる仕組みの構築に取組んでいます。これにより取得できる購買データを活用して、有力な新規開業者の誘引や既存店舗の経営支援を行なっていく考えからです。

関係者の声 まちの声

 「当地では、テナントミックス事業や週末イベントで、飲食・サービス業の充実を図っています。これは消費傾向が物販消費から時間消費へ移行していく中で、消費者がまちなかに『物』より、『学び、癒し、愉しさ』を求めているからです。これからも消費者ニーズに応えられるにぎわいあふれる街の形成に努めていきたい。」と、まちづくり会社の牧タウンマネジャーは、時代のニーズを見据え、まちなかへの想いを語られました。

【お知らせ】

 協議会支援センターでは、10月15日(金)、16日(土)、大分市内において、今回紹介した大分市の取組みを主題に「中心市街地活性化協議会交流会」を開催いたします。奮ってご参加ください。
詳しくは、中心市街地活性化協議会支援センター事務局長 平林まで
電話:03-5470-1623  e-mail:kyogikai@smrj.go.jp

                                                                                                 
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