地域に根ざして18年 ~コミュニティビジネスのさきがけ(株)アモールトーワ~

場所: 東京都 足立区 東和銀座商店街
協議会: なし
人口: 65万人
URL: アモールトーワ
アモールトーワ入り口

上野駅からJR常磐線で19分。亀有駅北口の繁華街を抜け徒歩で7~8分、区境を越え葛飾区から足立区に入った住宅地に東和銀座商店街があります。
住宅地の最寄りでごく普通のこの商店街が全国的に有名なのは、商店街有志で設立した(株)アモール東和の活動ゆえです。


18年前の平成2年、亀有駅北口に東京都の「東部地域病院」が開設されました。この病院内で売店とレストランを営業したいと手を挙げた商店街に立ちふさがったのは、「区域」のカベ。足立区にある東和銀座商店街は、葛飾区で営利事業は行えません。
そこで商店街有志41名で株式会社を設立。これが(株)アモールトーワのはじまりです。


商店街

同社の特色は、株式会社であっても目的を利益でなく「地域貢献」においている点です。
売店とレストランからはじまり、学校給食事業、ビル清掃と事業を広げていますが、資材は商店街で調達。従業員も極力地元から採用し、地域内循環をめざしています。


会社で得た利益はまちの為に使います。
商店街の業種を減らさないため、廃業しようとした鮮魚店を引き取ってアモール直営店にしたり、一人暮らしのお年寄りのため宅配弁当事業にも進出。いずれも赤字は覚悟。会社の利益があるからこそ、出来ることです。


もうひとつの特色は、未知の分野でも躊躇なく取り組むところです。
学校給食事業はノウハウもありませんでしたが、足立区にかけ合い「取りあえず1校」から始め、今では20ヶ所の小中学校、保育園、福祉施設を手がけています。
ビル清掃は清掃会社に研修員を2年間出向させ、経験を積んだ上で大手スーパーからの受託に成功しています。


田中理事長

アモールは今や従業員240名 年間売上げ4億を超える会社に成長。「いいと思ったらやってみるだけ。気が付いた人がやればいい。利はあとからついてくる。」社長である田中武夫氏はさりげなく語ります。

しかし商店街を取り巻く環境は厳しく、13年続けた直営鮮魚店も2月に閉店となりました。
家賃、光熱費はすべてアモールが持った上で経営は店主に全面的に任せ、魚を持ち込んで売上げは全部持っていって良い、という条件でも継続は難しかったそうです。


それでも田中社長は元気。鮮魚と併営していた宅配弁当事業は「絶対にやめない。」と語ります。「弁当の宅配は、独り身のお年寄りの安否確認でもある。辞められない。」現在、採算性をあげるための作業体制をスタッフ共々検討中とのこと。


学童グループ

最近の取り組みでは、空き店舗を活用した学童保育室を始めました。
「共働き家庭の子供が放課後安心して遊べる場を商店街につくろう。」と自前で始めた事業ですが、行政の方が放っておかず、現在は区が商店街組合へ補助するかたちで支援。夕方の東和銀座商店街には、元気な子供たちの声が響いています。


地域の資源を活用しながら、地域の課題を「ビジネス」として解決。
"コミュニティビジネス"のさきがけである(株)アモール東和。田中社長の軽やかなフットワーク、前向きかつひたむきな姿勢には脱帽です。最後は田中社長の印象的な一言でこの章を閉じたいと思います。


「今のモノサシで考えてはいけない。必ず商店街の時代は来ます。その時、商店街が消えてしまっていたら、元も子もありません。」

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