コミュニティビジネスで地域の活力を呼び覚ます
~地域のものは地域で担う!商店街若手メンバーの挑戦~

場所: 長野県 信州新町
分類: 【コミュニティビジネス】
人口: 0.5万人
協議会: なし
実施主体: NPO法人セレモニーふるさと

商店街の有志が地域のセレモニーを支援するNPO法人を立ち上げ、地域の活性化につなげているところがあるとお聞きし、早速お話を伺うことにしました。



朝市を開催していた会館前のスーパー

JR長野駅前からバスに乗って西に40分、信州新町商店街は、犀川の中流に広がる谷あいにあります。
信州新町は長野と松本の中継地として繁栄し、往時には人口も1万4千人を超えていましたが、過疎化が進み現在では約5千5百人。商店数も昭和57年の148店舗から平成16年には89店舗に減少してしまい、商店街の後継者も少なく、年々空き店舗等も増加し町の活気が減少してきました。


NPO法人ふるさとの中澤事務局長さんに、本業の合間を縫って出てきていただき、事業の立ち上げ当時からのお話をお聞きすることができました。


当時、商店街の復活を目指して有志によりスーパーの駐車場を利用して月1回「朝市の会」を開催していました。その参加メンバーの話し合いの中から意見が出され、今回の事業の取組が始まったそうです。


昨今、地方では各家庭で行われていた冠婚葬祭が高齢化や生活様式の変化、式を取り仕切る年長者がいなくなったりで、地元で行われなくなってきました。
ここ信州新町でも地元での取組が減少し、これが町内での消費を流出させているのではないかという意見が出されました。 


従前は地元で冠婚葬祭が行われることにより、地元商店街で品物(仕出し、引き出物、生花等)が調達されていましたが、これらが減少することにより、結果として地元商店街の消費が落ち込み、町全体の活力が減少している一因ではないかということでした。


セレモニーふるさと

加えて、農協の合併により仕出し事業が廃止され益々地元での葬祭が行われにくい状況となりました。
各家庭や菩提寺で葬祭が行われていたときは、地元の商店街で調達されていた納入品(仕出し、引き物、生花等)も、町外の施設が使用されるようになると減少の一途。これでいいのか?という疑問が湧いてきたそうです。
解決するためには、自分たちが冠婚葬祭を仕切るしかない。メンバーの皆さんの奮闘が始まりました。

水防会館兼商工会館アクアホール

こうしたなか地域のセレモニーを自分たちで支援するため「セレモニーふるさと」(当初は任意団体、平成16年1月にNPO法人へ)が立ち上げられました。


当初はPTAや役場のパーティーなどを請け負いながらノウハウを蓄積し、その後本格的に事業を始めることになったそうです。
事業を始めるに当たりメンバーの皆さんは商工会を通じ、中小企業事業団(現中小機構)のアドバイザー派遣事業の活用や町に相談をして、少しでも有利な支援方策などを探る一方で、より高いサービスの提供を図るため、厚生労働省が認定する「葬祭ディレクター」の資格をとるために東京にまで出かけて研修を受け試験を受けたそうです。
現在ではかなりのメンバーの胸に資格証が見られるようになっています。お料理の見本などパンフレットの作成にも力を注ぎました。



信州新町商店街のたたずまい

また、NPO法人ふるさとの事業コンセプトは、「地域の物、者、モノを使う」ということで徹底しています。セレモニーの会場は、アクアホール(水防会館兼商工会館)をはじめ、お寺、利用者の自宅など地域内のさまざまなところと提携の輪を広げ、営業についても、地域の主婦のネットワークや任意のグループ(応援団)を組織して、地元に深く浸透しているそうです。


こうしたさまざまな活動の結果、現在では町で実施される冠婚葬祭の半分は当法人が請け負うようになったほか、商品の仕入れはほぼ100%町内業者からしておられるそうです。
また、平成17年度には年間1億円の売上げを達成するなど、それだけの消費を地元商店街に繋ぎ止め、あるいは取り戻しつつあります。また、地域の人にとっては、葬祭の費用が安くなる、参列者が増えるといったメリットも生じています。


事業は始まったばかりで、これからさまざまな展開が考えられますが、「引き出物」についての住民からの要望に応えていくため、和菓子屋さんでの新商品の開発、豆腐屋さんでの「お茶」の取扱い等々商店街での相乗効果も出始めているそうです。
今後は更に事業を発展させ、高齢者向け宅配サービスの事業などについても検討を進めていけたら、とのお話でした。



編集後記


国道19号線から1本中に入った商店街を歩くと、車歩道が整備され、段差もなく静かな環境の中に頑張っている商店が見られました。地域リーダーの皆さんの知恵と団結と頑張りがまちづくりにつながっているものと感じたところでした。(地元で頑張っている酒屋さんも発見しました、皆さんも訪れてみては・・・)

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