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第25回近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会(大阪市)

「まちの賑わいの測り方」

講演に先立ち、近畿ネットワーク研究会会長尾崎氏よりあいさつがあり、基本に立ち返って中活の数値目標を考えることが本研究会の目的であることが共有されました。また株式会社地域環境計画研究所の若狭氏より講演内容のポイントの説明がありました。

○講演 有限会社ハートビートプラン 園田 聡氏

新しい「まちの賑わいの測り方」を考える前に、現行の主だった数値目標で街の暮らしを見つめ直したとき、果たしてそれが「豊かさ」の全てであるのか疑問が投げかけられました。豊かさの基準は、歩行者通行量や年間小売販売価格で測るだけでなく、その土地の住民発であるものも重要です。つまりは、その土地を開発する作り手が中心となるのではなく、その土地の使い手である住民が中心となり、豊かな生活を送れるようにするということです。プレイスメイキングの考え方によれば、住民の公共的空間の使い方を集約し、ボトムアップして形にすることで、空間は居場所になり、街に居場所が増えることでその地域の生活の質が向上し、街への愛着に発展します。

このような視点に立ち数値目標を探したとき、心理的価値を伴った本質を捉える指標がないのが現状です。これからは定量のみの指標ではなく、その空間の使い方などの詳細なレベルから定量指標を構築するとともに、定性的な観点でも指標を考えていく必要があります。

では、空間を居場所にするにはどのような取り組みが必要で、その効果を図るためにどのような数値目標が必要なのでしょうか。園田氏は豊田市の「あそべる豊田」の事例を挙げながら解説くださいました。

○あそべる豊田の事例

空間を居場所に発展させていくにあたり、必要な視点はアクティビティファーストです。空間が多様なアクティビティの受け皿になることで、まちなかを「人のためのビオトープ」に発展させていきます。この考えのもと、広場の使い方に多様性を持たせた事例が豊田市の「あそべる豊田」の事例です。豊田市が広場の利活用に際しどのようなステップを踏んだか以下に記していきます。

1.既存の広場で活用試行し、成果をハード整備に反映させる

あそべる豊田では、広場の再開発にあたり、「空間の利活用」と「空間の再整備」を両輪で回すことを基本にしました。空間の利活用の模索については、先述のように使用者(住民)の意見をボトムアップしていくべきですが、日本ではその風土が醸成されていないのが現状です。そこで、まず再開発対象空間を行政側が使用者目線で楽しんで使い、その後で住民に使い方の提案する方法を採ることにしました。

そのために行政担当者はまず街歩きから始め、アイデアを出し、計画を練りました。低リスク・低コストで行うにはどうするかを楽しみながら試行していきました。たとえば、広告費の削減のため、チラシなどに頼るのではなく、黄色い風船を対象エリアで配布し存在をアピールすることで、子供の集客につなげるなど、低コストでありながら楽しさを提供するアイデアを実行しました。また、使用者(住民)に試験的活用を提案するに当たっては、パンクロックコンサートやスケボー広場、プラネタリウムなど住民の「やりたい」を周囲の環境に配慮しながら形にしていきました。

2.評価は人の数で測るのではなく、アクティビティの多様性で測る

再開発対象の広場の一つに、喫煙目的でしか使用されていない所がありました。その空間を親子で訪れることができる居場所や、子供遊びができるスペースなどの実験をすることで、住民のその空間の使われ方の意識が「喫煙」から「会話」「遊び」など多様性を持つようになりました。空間の使われ方に多様性を出し、空間の「一人あたりの滞留時間」を延ばすことで、街中に人のいる風景を創出しました。こうした試行の過程で空間が居場所に近づいていく手ごたえが感じられます。

3.試行の結果をもとに空間ごとの特徴・条件整理

試行が済んだら、実験結果をもとにゾーンごとの使い方を整理していきます。実際に、空間をデザインしていく過程では、空間の持つ機能や管理者が異なる条件で行うケースがあります。しかし、機能・管理面でバラバラに整備を行うのではなく、一貫性を持った監修のもとで提案し進めていく方が、メッセージ性が失われることなくデザインに反映されやすいものになります。

このような過程を通して、1万人が1回訪れる空間ではなく、100人が100回訪れる空間になります。来街者は同じ1万人ですが、生活が豊かな街は、どちらであるか明白ではないでしょうか。