平成28年度東北地域中心市街地活性化協議会等交流会(山形市)

山形市の中心市街地活性化の取り組み1

『七日町御殿堰 歴史資源を活かした古くて新しいまちづくり』
七日町御殿堰開発株式会社(不動産管理運営業)
代表取締役 結城康三氏

○事業の始まり

結城氏は、代々伝わる呉服店を営んでいました。結城氏の現在の事業は、結城氏の呉服店が入居していたビルの所有者が、その建物を売りにだすことから始まります。これは結城氏が、経営危機に直面したことを意味しています。ビルの買い手が誰になるかによって、結城氏の呉服店は転出を迫られる可能性があるからです。

そこで結城氏は一念発起し、当該土地を買い取り、新たな事業を展開することを計画します。結城氏は事業の展開に当たり、出資者を募り資本金で事業を展開する手段をとりました。出資者を募る際に使われたのが、以下の画像のイメージパースです。

イメージパース1
イメージパース1

イメージパース2
イメージパース2

これを用い結城氏は事業イメージを出資者に理解してもらうために奔走します。これが功を奏し、結城氏は資本金6,200万円をもって七日町御殿堰開発株式会社を設立しました(なお、まちづくりというと第三セクターを想起なさる方もと多いと思いますが、七日町御殿堰開発株式会社は純粋な民間会社です)。

結城氏はその資本金を元に、御殿堰に隣接する母屋や蔵の整備とそのテナント運営を行い、山形市が御殿堰の再生と周辺の土地の公園整備などの支援する再開発事業に乗り出しました。現在では母屋や、母屋の奥の蔵2棟には特徴的な店舗が入居しており、連日にぎわいを見せています。

参考リンク) 御殿堰開発前後の比較画像 街元気サイト(新規ウインドウ表示)

母屋に入居するテナント店
  • 呉服店「結城屋」(結城氏が経営する呉服店)
  • 銘茶と和風喫茶の「岩淵茶舗」
  • 「KEN OKUYAMA」(日本人で初めてフェラーリをデザインした奥山清行氏のショップ)
  • カフェ&レストラン「いつもの場所」
  • 米沢織のお店「布四季庵」
  • そば処「庄司屋」
母屋の奥の蔵に入居するテナント店
  • ライフスタイルを提案する「群言堂」
  • 欧風料理を提供する「Classic Cafe」

参考リンク) 七日町御殿堰開発株式会社(新規ウインドウ表示)

○なぜ御殿堰を活用した再開発を行ったか

商店街が商業の中心だった時期とは異なり、外部環境の変化から新たな競合が進出し、激しい消費者の奪い合いが起こっています。競争を勝ち抜き生き残るには他の商業施設との差別化が必要になってきます。差別化を打ち出すためには、独自の環境が持つ強みが何か(自分が得意なもので、競合ができないものは何か)を整理する必要があります。結城氏は商店街が持つ強みは何か模索し始めます。

(補足1)山形市周辺の各商業施設の強み
  • 郊外店:車の利便性(駐車場)
  • 仙台:大規模な商業集積
  • 通信販売:ネットなどを活用した、買い物の利便性の実現
  • 商店街:強みはどこにあるか?
(補足2)これまでの商店街活性化策
  • 駐車場の設置
  • 空き店舗対策
  • 大型店舗の誘致
  • テナントビルの設置
  • アーケード設置
  • コミュニティ施設
  • 街中マンション建築

これらは必要ですが、戦略の軸にはなりません。なぜなら、街の問題や弱点を補うものであり、強みを活かした物ではないので、街の魅力にはつながりにくいからです。

 

その中で商店街は、単なる商業集積でなく、人が住まい行き来する街であることに気付きます。では、街の魅力とは何か?結城氏は、それは街の持つ歴史であると京都や奈良、東京の街を思い起こして気づきます。そして、買い取った土地のそばを流れる御殿堰を観光資源として活用することを決めます。御殿堰を含め山形市には400年の歴史を持つ5つの堰があります。時代の流れ(近代化)とともに暗渠化していましたが、それを甦らせる再開発をする決意をしたのです。

(補足3)判を押したように画一的な開発の例
(補足3)画一的な開発の例

以上の画像のように、近代的な開発にその土地らしさがでるでしょうか。どこの地方でも見られる風景になってしまうのではないでしょうか。

魅力がある街ならば、交通の便が悪くても人が集まることを結城氏は、飛騨高山を視察して知ります。そしてより高い集客を図るには単に作ったものではなく、本物であることが重要であることを理解するに至ったのです。「本物の良さを知り、山形にある建物の中で一番美しい建物を作る」「先代の遺産を7代先までつなげるまちづくりを」それらが御殿堰再開発のコンセプトになりました。そして、昔のまま(本物)を新しく(ハイセンスなテナントとして)使う現在の御殿堰開発に発展しました。

御殿堰再開発1 歴史を感じる母屋を活用したテナントとそばを流れる御殿堰
御殿堰再開発1 歴史を感じる母屋を活用したテナントとそばを流れる御殿堰

御殿堰再開発2 自然を感じる御殿堰の流れ
御殿堰再開発2 自然を感じる御殿堰の流れ

*朝方、御殿堰を訪問したところ、結城氏自ら、作業服に長靴を履いて、御殿堰の手入れをなさっていました。代表取締役が率先して手入れをするところに事業への熱意と利益責任の大きさ、そして成功の要因が見えた気がしました。

御殿堰再開発3 歴史ある蔵を活用したテナント
御殿堰再開発3 歴史ある蔵を活用したテナント

 

 

次のページ山形市の中心市街地活性化の取り組み2

 

2/6

 
戻る