第24回近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会(大阪市)

日時 平成28年7月13日(水曜日)14時00分〜17時50分
開催地 中小機構近畿本部セミナールーム
主催 近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会
テーマ 「まちのストックの活かし方」
交流会次第
14時00分
開会
14時00分〜
14時20分
近畿中活ネットワークの運営等について
  1. 本ネットワークの主旨・成り立ち等について
  2. 本年度の運営体制について
    (役員及び事務局【近畿経済産業局、中小企業基盤整備機構】)
  3. 本年度の予定等
14時20分〜
14時30分
講演テーマのフォーカスポイント・ゲスト紹介
紹介:中小企業基盤整備機構 近畿本部 吉田英彰氏
解説:株式会社地域環境計画研究所 若狭健作氏
14時30分〜
15時30分
【講演】「まちのストックの生かし方」
スーク創生事務所 代表 大島祥子氏
15時30分〜
15時45分
休憩

第2部

15時45分〜
15時50分
グループディスカッションの説明
株式会社地域環境計画研究所 若狭健作氏
15時50分〜
16時20分
【グループディスカッション】
〜大島様の講演を聞いた上で、各地域の現状を踏まえての意見交換〜
  • ご講演から学ぶこと
  • 各地域においてできること
  • もっと聞いてみたいこと
16時20分〜
16時30分
【質問整理】
株式会社地域環境計画研究所 若狭健作氏
長浜まちづくり株式会社 竹村光雄氏
16時30分〜
17時20分
【各グループからの意見・質問について討議】
スーク創生事務所 大島祥子氏
株式会社地域環境計画研究所 若狭健作氏
長浜まちづくり株式会社 竹村光雄氏
17時20分〜
17時50分
伊丹市より「第2回広場賞特別賞」受賞についての報告
中小企業基盤整備機構からのお知らせ
17時50分
閉会
参加者数 49名
協議会数 16協議会

研究会概要

講演に先立ち、株式会社地域環境計画研究所の若狭氏より「空き家」についての問題提起があり、課題を共有した後に講演が行われました。

☆スーク創生事務所 大島氏 講演 「まちのストックの活かし方」

大島氏は京都府を中心としたまちづくりや地域コミュニティに積極的に参加し、調査研究やコーディネートを実践しています。現在、まちづくりにおいて「空き家」や「民泊」などがキーワードとして聞かれることが多い状況の中で、「とりあえず空き家を何とかし、民泊を何とかする」といった応急的対処ではなく、“まちの戦略”としてストックの活用を継続的に行う必要があるという観点で講演いただきました。

〈空き家の増加の要因と現状〉

人口が減少していること、新築住宅着工が増え続けていること、家屋があれば土地にかかる固定資産税が1/6に軽減される「住宅用地特例」の存在があること、などの要因によって空き家が生まれると考えられ、現在は日本全国で820万戸もの空き家が存在している。空き家は今後も増え続けると予想され、20年後には空き家数が2,000万戸を超えるとの予測もある。

〈空き店舗の現状〉

空き店舗も商店街の大きな課題となっている。商店街をめぐる現状としては、商店街に参加しない店舗が増加していること、補助金に頼り切った活動になってしまうこと、後継者がいないことなどで店舗を廃業せざるを得なく空き店舗が増えてしまう環境に陥っている。また、単に「イベントが活発な商店街=売り上げが上がる商店街」ではないことからも商店街の厳しい現状がうかがえる。

〈それぞれの立場の空き家・空き店舗増加によるデメリット〉

所有者…維持管理する手間がかかる、目が行き届かない不安がある、税金がかかるなど
地域住民…防災・防犯上への不安がある、街並みへのマイナスの影響、活気の低下など
行政…まちの魅力低下、それ伴う人口の減少、撤去にコストがかかるなど
消費者…既存住宅の流通が不十分、居住地選択の多様性が損なわれるなど

〈それぞれの立場の空き家・空き店舗対策によるメリット〉

所有者…不安が解消される期待
地域住民…新たなまちづくりにつながる期待
行政…移住者が増える可能性への期待
消費者…住まい選びの選択肢が広がる期待
など有効活用することでの多くのメリットがある。

〈空き家・空き店舗活用の新しい潮流、可能性〉

空き家、空き店舗が増える環境の一方で、新しい潮流として、

  1. 「古い」ではなく「新しい価値」を備える物件として中古物件を生まれ変える「リノベーションの潮流」
  2. 「住まいに手を加える」文化が再燃している「DIYの潮流」
  3. 多様な生き方、働き方、暮らし方の模索結果として、「移住」への関心の高まり

などがあり、厳しい現状と同時に、空き家や空き店舗を活用できる可能性も大いにある。

〈有効資源=「ストック」〉

このような有効資源を「ストック」と定義し、ストックを有効資源化し、有効活用することが重要である。「ストック」の定義は、そのまちの歴史の中で供給・蓄積されてきた有形・無形のものをさし、ひと・もの・ことを全て「ストック」と捉える。

〈ストック(空き家)の活用した事例〜京都市の地域連携型空き家流通促進事業〜〉
  1. 糸でつながる33mのマーケット「itonowa」(イトノワ)(島原糸の輪プロジェクト委員会)
  2. 晒屋町地蔵盆の活性化と路地文化の再生(株式会社八清)
  3. 本町エスコーラ(柳の杜アンサンブル)
  4. 曼陀羅園町に所在する町家を活かした地域の触れあいづくりプロジェクト
    (曼陀羅園町に所在する町屋を活かした地域の触れあいづくりプロジェクト委員会)
  5. 京北さとまち交流カフェ「恋咲楽」プロジェクト(京北さとまち交流カフェ「恋咲楽」)
  6. 春日学区住民交流施設整備事業(春日住民福祉協議会)
  7. 宇津銀座プロジェクト(宇津銀座プロジェクト実行委員会)

「itonowa」(イトノワ)の店舗風景

〈空き家を地域課題の解決に役立てた事例〉
  1. 高齢者がともに暮らす住まいの事例〜岩手県金ヶ崎町にある「花憩庵」〜
    医療法人社団創生会が実施する「高齢者がともに暮らせるサテライトハウス(サービス付き高齢者専用賃貸住宅)」では、空き家に在宅サービスや医療を付帯させることで、空き家の利用価値を上げることに成功した。
  2. 若手職人のインキュベート(育成)組織〜「あじき路地」〜
    あじき路地は築100年を超えた路地。長年空き家で老朽化した建物を2003年に住めるように改装、入居者が「職住一体で暮らす職人・アーティスト」として、多数のメディアに取り上げられた。入居者にとって切磋琢磨の場にもなり、若手職人の育成にもつながるインキュベーション施設としての側面も持ち合わせている。
  3. ストックを活かす切り口
    まちの資源を生かす取組(京都の景観について)
    まちづくり史を活かす取組(エリアマネジメント組織としての展開)
    多様な人が係る取組(商店街・まちづくりへの大学参加)
    多様な人が関わる取組(堀川団地再生の取組)など

これらストックを活かす取組を行うことで、文化活動の促進、雇用の創出、町並み景観・記憶の継承、価値の維持向上、など多くの「効用」がもたらされる。

〈まとめ〉

空き家、空き店舗に対し、ネガティブな情報や考えに踊らされず、まちづくり活動と連携して“資源”に変える努力が必要。

大島氏の講演の後、6グループで「講演から学んだこと、各地域において出来ること、もっと聞いてみたこと」についてグループディスカッションが行われました。

討議後のグループ発表では様々な意見が出された後に、スーク創生事務所 大島祥子氏、株式会社地域環境計画研究所 若狭健作氏、長浜まちづくり株式会社 竹村光雄氏の3者によるパネルディスカッションが行われました。

パネルディスカッションの様子

最終的に「魅力的な空き家とは?」をゴールに、家主の観点、行政の観点、まちづくり会社の観点に分け、それぞれの活発な意見交換がされました。

家主の意識改革の重要性の認識、行政は主導でなく必要なサポートなどのバックアップを期待し、まちづくり会社は“空き家、空き店舗の活用”が目的ではなく、公益性を重視し平等公正な活用を目指すことが重要との方向性が意見交換で導き出されました。

最後に事務局である中小機構近畿本部より「中小機構のまちづくり支援策」についての説明と、中心市街地活性化協議会支援センターから業務内容説明とともに11月2日に予定している全国勉強会のお知らせをし、閉会となりました。

終了後には交流会も開催され、各地の意見交換など近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会のより深い交流となりました。

関連リンク

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