第22回近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会
(近畿ブロック中心市街地活性化協議会交流会)

日時 平成27年11月10日(火) 13:30〜18:10
場所 中小機構近畿本部セミナールームA・B
主催 中心市街地活性化ネットワーク研究会、中小機構近畿本部、
中心市街地活性化協議会支援センター
テーマ 「更新するまちなか 中心市街地リノベーションの最前線」
研究会次第 13:30〜13:35 開会挨拶
           中心市街地活性化ネットワーク研究会会長 尾崎弘和
13:35〜13:45 講師紹介・今日の講演のポイントについて
           (株)地域環境計画研究所代表取締役 若狭健作氏
13:45〜14:25 ●事例講演 1
        「豊岡市で何が起こっているのか
         −まちなかリノベーションの新たな潮流について−」
           兵庫県立大学地域資源マネジメント研究科准教授 山崎義人氏
14:25〜15:05 ●事例講演 2
        「篠山の古民家再生をめぐる人々
         −篠山市における様々な主体の取組について−」
           一般社団法人ROOT代表理事 谷垣友里氏
15:05〜15:35 ●パネルディスカッション
        「更新されるまちなか
         −中心市街地リノベーションのこれから−」
           パネラー 山崎義人氏、谷垣友里氏
           コーディネーター 若狭健作氏
15:50〜16:50 ●グループディスカッション
        「豊岡市、篠山市の事例から学ぶこと、各地域において出来ること、
         もっと聞いてみたいこと」
          〜講演、ディスカッションを聞いた上で、各地域の現状を踏まえての意見交換〜
16:50〜17:40 ●各グループからの意見・質問
17:40〜18:10 ●各地域からのお知らせ・近畿経済産業局からのお知らせ・質疑応答・その他
参加者数 47名
協議会数 10協議会(他関係機関12先)

研究会概要

交流会の様子

  先ず、中心市街地活性化ネットワーク研究会会長の尾崎弘和氏(田辺商工会議所中小企業相談室室長)から開会挨拶、(株)地域環境計画研究所代表取締役若狭健作氏より講師紹介と事例講演のポイントについて説明がありました。

 引続き、兵庫県立大学地域資源マネジメント研究科准教授山崎義人氏から豊岡市で取組まれているリノベーションの2事例が次のとおり紹介されました。

  • 豊岡市は、2,000年前の柳行李づくりを起源に鞄生産が始まり、現在、国内生産の7割を占める一大産地になっている。
    一方街並みは、大正14年の大地震「北但大震災」の復興の中で、銀行はじめ多くの建築物がまちの中心部に再建されたため、歴史を感じさせる風格ある建物がまちなかに多く残っている。
  • 事例の一つ目として、「トヨオカ カバン アルチザン(職人) アベニュー」を紹介する。
    これは、まちなかにあるカバンストリート(宵田商店街)内の大型空き店舗を改装したもので、1階は鞄ショップ、2階は鞄パーツの専門店、3階は鞄職人を育成する専門校になっており、平成26年4月にオープンした。
    豊岡まちづくり株式会社が事業主体となり、管理運営も同社が行っている。
    この施設は、鞄という地場産業を中心にまちづくりを推進していくための拠点として、各地から注目を集めている。

参考URL
トヨオカ カバン アルチザン アベニューHP
2014年グッドデザイン賞受賞取組紹介HP
交流会の様子



  • 事例の二つ目として、「豊岡劇場」を紹介する。
    豊岡劇場は、昭和2年に開業し、芝居や映画を通じて市民に親しまれてきたが、平成24年にやむなく閉館した。しかし、市内で設計会社を営む石橋秀彦氏が、「まちに地域文化の拠点を作りたい。」との思いからこれを取得し、「豊劇新生プロジェクト」を立ち上げ、平成26年12月に再開館した。
    特徴は、映画館という建物を活用し、映画の上映、イベントの開催、ホールの貸し出し、カフェバーの営業、FreeWiFiの設置等、映画を見に来るだけではなく、多くの市民やクリエイターが様々な活動のため集える「場」として整備したことと、資金調達にクラウドファンディングを活用したことをあげることができる。

交流会の様子


また、豊劇新生プロジェクトリーダーの伊木翔氏から、次のとおり補足説明がありました。

  • クラウドファンディングでは、110人から270万円余が集まり、これは内外装の整備経費に充当した。
  • 豊岡劇場は、90年という長い間、地域に寄り添ってきた。あと10年経過し100年になる時も、たくさんの方々の1日を演出する場所であり続けるようにしていきたいと思う。

参考URL
豊岡劇場HP
クラウドファンディングプラットフォームMotion Gallery(豊岡劇場)

 この後、一般社団法人ROOT(ルート)代表理事谷垣友里氏から、篠山市で複数の組織が取組んでいる古民家再生事業が、次のとおり紹介されました。

  • 篠山市は、神戸、京都、大阪から電車や車で約90分のところにある人口4万人の城下町です。
    観光客が多く来街しているが、まちなかは空き店舗が多く、郡部を含め空き民家も多い。
    その中で、古民家再生に取組んでいる組織として、一般社団法人NOTE(以下「ノオト」)とNPO法人町なみ屋なみ研究所(以下「町屋研」)があり、再生し店舗化した古民家(町屋)は、全体で50以上を数える。
    また、観光客をまち歩きに誘導し回遊性を高めるため、エリアマネジメントの手法でテナントの業種を調整している。
    ROOTは、上記2組織等と連携し、古民家再生に取組んでいる。

参考URL
ROOTの古民家活用事業のHP

  • ノオトは、代表理事に元副市長が就任しており、古民家再生ばかりではなく、指定管理業務、特区による活性化支援、情報技術を活用したIT事業、田舎の暮らし体験旅行や6次産業化の支援等、幅広い活動を行っている。
    古民家再生の特徴は、「10年間の定期借地権契約、ノオトによる資金調達、改修した古民家のサブリース(転貸)、各種支援施策との連携」をあげることができる。
    不動産所有者にとって、固定資産税の負担がなく、修繕等の心配もなく、10年後には改修された物件が戻ってくる、というメリットがある。

参考URL
NOTEのHP

  • 町屋研の特徴は、「古民家を賃貸契約、ボランティアによる改修、古民家のサブリース(転貸)」となるが、最も際立つのは「ボランティアによる改修」で、町屋研のネットワークで改修の告知をすると市内だけではなく、近県からも参加者が駆けつけている。
    大工等の親方が伝統的工法や耐震補強に配慮しつつ参加者に技術を教え、改修が進められる。
    なお、改修内容は、この作業には町屋研所属の一級建築士の専門家等も参加しており、関係者の協議により決められる。

参考URL
(一社)町なみ屋なみ研究所のHP
(一社)町なみ屋なみ研究所のブログ

交流会の様子

この後、山崎義人氏と谷垣友里氏をパネラーに、若狭健作氏がコーディネーターとなり、パネルディスカッションが行われました。
 コーディネーターからの「新しい担い手が出てきたきっかけは?」という問いに対して、次のとおり回答がありました。

●山崎義人氏
豊岡市の新しい担い手は石橋秀彦氏であり、氏の「まちに文化の拠点をつくりたい。」と いう強い思いだと思う。
その思いを行動に移し形にしていくことがとても大事だ。
●伊木翔氏からの補足説明
豊岡劇場の今後の課題は、「場」としての使われ方だと思う。利用者にはできるだけ自由に使ってもらっており、このことが次の新しい担い手の誕生につながると思う。
●谷垣友里氏
篠山の歴史ある街並みや生活文化を守っていこう、そして活性化を推進していこうという考えをお持ちのノオト、町屋研の代表の方の存在だと思う。

その後、参加者は、事例講演とパネルディスカッションについてグループディスカッションし、引続き質疑が行われました。

 主な質疑は次のとおりです。

質問 豊岡劇場の再開館にあたり、役立ったことは何か?

回答 映画館という文化施設だったこともあり、行政には助言・支援等お世話になった。
また、資金的には中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業の補助対象になり、これによりデジタル映写機の導入が可能になった。また、クラウドファンディングによる出資は施設内外装の整備に充当された。


質問 町屋研の取組で、経費、例えば資材費等は誰が負担しているのか?

回答 大工等の親方への謝礼は町屋研負担、資材費は不動産所有者またはテナント予定者となっている。


質問 古民家を改修するにあたり、組織間の調整はどのようにとっているのか?

回答 行政と商工会には開業資金の助成制度があり、また、町屋研は改修作業だけに参加することも多いことから、当初(5年前)のころは行政、商工会、ノオト、町屋研等の関係組織の会議があり、そこで相互調整をしていた。
現在は、各々の得意分野を相互に認識しているので、その案件の担当者が適宜他の組織に相談し、連携し、進めている。


質問 古民家を改修する時に、既にテナントは決まっているのか?

回答 篠山市は交流人口が多いため、常に開業希望者が一定数いる。
エリアマネジメントの考えや地権者・商店街・自治会の考え等を総合的に勘案し、開業希望者に声をかけ進めていくので、改修時にはだいたい決まっている。
参考URL
商工会による空き店舗対策の取材記事(サイト内リンク)

この後、近畿経済産業局 商業部 流通・サービス産業課橋紗代氏はじめ、関係機関から中心市街地活性化支援に関する情報提供があり、本研究会は終了しました。

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