第20回 近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会(長浜市)

日時 平成27年2月3日(水)13:30〜17:45
場所 曳山博物館ホール(滋賀県長浜市元浜町14-8)
主催 近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会、中小機構近畿本部
中心市街地活性化協議会支援センター
交流会次第 第1部
13:30 開会
13:35〜13:50  【報告】長浜市中心市街地活性化基本計画(二期)の進行状況について

13:50〜14:20  中心市街地見学

14:30〜15:15  【講演】「暮らしに根ざしたまちづくりへの再挑戦」
             全体像紹介
               竹村 光雄氏 長浜まちづくり株式会社プランナー
             KOKOKU(ココク)の活動やプロジェクトでの連携
              佐野 元昭氏 KOKOKU代表
            今後への期待と注意点
              吉井 茂氏 長浜まちづくり株式会社コーディネーター
15:15〜15:30  【質疑】

第2部
15:40〜16:40  【講演】「まちづくりを担う株式会社の収益構造」
              全体像紹介
                竹村 光雄氏 長浜まちづくり株式会社プランナー
              公認会計士からみたまちづくり会社の収支について 
               小川 健介氏  中小機構中心市街地商業活性化アドバイザー
              今後への期待と注意点 
               吉井 茂氏 長浜まちづくり株式会社コーディネーター

16:45〜17:15  今後の近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会の進め方について
         (事前アンケートに基づく報告)

17:20〜17:40  各地域からのお知らせ・近畿経済産業局からのお知らせ

17:45 閉会
参加者数 55名
協議会数 11協議会

交流会概要

第1部
シェアハウス絹市を見学

 まず、長浜市より第二期基本計画の進行状況について、報告がありました。次に、住宅地域の空き町屋対策として取り組まれている「安藤家(長浜を代表する近代和風建築。北大路魯山人が手掛けた装飾美で有名)」の住宅再生事業とシェアハウス事業について説明がありました。

 シェアハウス事業の事例として見学した「シェアハウス絹市(きぬいち)」は、長浜まちづくり株式会社がオーナーから空き町屋を賃借し、プランニングとリフォームを行い、イベント用のオープンスペースと4つの個室に整備し、これらを転貸しています。建物は、奥行きのある町屋造りで、中はモダンな和洋折衷のデザインでリフォームされ、落ち着いた明るい空間です。入り口右手に大きなテーブルの置かれた洋室とその奥に二間続きの本格的な和室のオープンスペースがあります。個室は建物の奥に2室と玄関上の2階に2室あります。住居部分の共用スペースは、台所と男女別の浴室・トイレです。

 見学後、会場に戻り、第一部 シェアハウス事業の背景と第2部まちづくり会社の収益構造について、講演が行われました。講演は、第1部、第2部とも、長浜まちづくり株式会社プランナーの竹村氏が全体像を紹介し、続けて専門家の講師による講演があり、同社コーディネーターの吉井氏が今後の期待と課題について締めくくるという構成で行われました。

  竹村氏から、空き町屋再生事業の背景と滋賀県北東部の湖北地域のまちづくり団体であるKOKOKU(ココク)との出会いについて、下記の通り紹介がありました。

  • 30年間に及ぶまちづくりで観光客は増えたが、そこに住む住民は減り続けている。
  • 長浜市の伝統的な町屋と豊かな自然環境という地域資源を活かして、地元に住む人たちに価値のあるまちづくりをしていきたい。
  • 同じ思いの地元の建築家を探していたところ、KOKOKUの活動を知り、イベントに参加し、一緒にまちづくりを目指すようになった。

玄関右手のオープンスペース

 続けて、KOKOKUの代表であり、長浜市内で設計会社を経営する佐野氏からKOKOKUの活動と「シェアハウス絹市」のリフォーム事業について、下記の通り講演がありました。

  • 2007年、長浜市に設計事務所を設立。建築を通して出身地の湖北地域の活性化に関わりたいと思い、先輩が主宰していた地域団体KOKOKUの活動に参加するようになった。
  • KOKOKUは、「湖北地域の新しい地域活性化とまちづくり」という目的を掲げて、2010年から活動している。内外の交流人口を増やし、地域の課題解決にチャレンジするコミュニティデザイン団体である。
  • クリエイティブな仕事を持つメンバーが、新しい湖北の魅力を発見し、内外へ伝えるため、季節と自然を楽しむイベントの実施や地域の郷土料理・手仕事等を楽しむワークショップ等を開催している。
  • 「シェアハウス絹市」は、長浜市初のシェアハウスで、和の素材を活かして設計した。このリフォームは、住宅からシェアハウスへの用途変更が必要だったため、関係者間の意見調整に難しさがあった。

 続いて、吉井氏から、現在の「シェアハウス絹市」の運営状況と今後の課題について、下記の通り説明がありました。

  • リフォーム事業は、一部、長浜市の補助金を受けて事業化した。
  • 管理人は置かず、オープンスペースの鍵の受け渡しは、まちづくり会社が管理する「安藤家」事務所で行っている。
  • オープンスペースは、月2万円の収益を見込んでいた計画がクリアできていない。オープンスペースの利用率向上が今後の課題。

第2部
交流会の会場風景

 第2部では、竹村氏から長浜まちづくり株式会社の事業構造の変化について、下記の通り報告がありました。 

  • これまでは、本部が企画・調査・総務・会計などの業務をすべて行ってきたが、今後は事業毎に目的を明確にして独立事業として運営する体制にする。
  • 本部は、経営基盤の確立と事務窓口として、総務・会計業務全般と「不動産管理運営」事業を行う。
  • 「長浜町屋再生バンク」部は、まちなか居住の促進、新しいマーケットと担い手育成を目的に、長浜市と連携し町屋再生バンク実践プログラムを行う。
  • 「マーケット調査・企画」部は、まちなかの求心力回復と持続的な地域活性化の推進を目的に、長浜市と連携しライフスタイルブランド化推進事業を行う。
  • 「コンサルティング」部は、集客力強化と地域コミュニティ育成を目的に、商店街や民間企業とイベントや企画立案などを行う。

 続けて、公認会計士であり、中小機構の中心市街地商業活性化アドバイザーの小川氏から、全国のまちづくり会社の現状と課題・解決法および長浜まちづくり株式会社の課題と今後の在り方について、下記の通り講演がありました。

  • 民間研究機関のまちづくり会社の実態調査資料をもとに、まちづくり会社の課題について、設立時期ごとに第1期(平成10年以前)、第2期(平成11−18年)、第3期(平成19年以降)の3期に分けて、それぞれの特徴と課題・解決の方向性を提案した。
  • 共通の課題として、空きテナントの増加と不動産物件の収益性の低下がある。解決法としては、新規ビジネスへの挑戦や、施設管理ではなく施設活用という視点で、デッドスペースを有効活用する取り組みが考えられる。
  • 長浜まちづくり株式会社は、少数の運営スタッフで駐車場運営に加えて受託事業など多様な事業を展開し、一つの事業に頼らない事業構造になっている。
  • 増加する人件費を賄い、安定した経営を行っていくためには、利益基盤の強化が課題である。駐車場収入への依存を下げ、不安定な受託事業収入を安定化させることが必要。
  • 新規事業としてとしては、周辺ビルの保守管理業務の取りまとめ(ファシリティマネジメント)や商店街組合事務の一括受託、クラウドファンディング事業などが考えられる。

 続けて、吉井氏から会計の専門家である公認会計士をアドバイザーとして派遣要請した理由について、下記の通り説明がありました。

  • 今後、駅前再開発を行うときに、数字がわからないとリスクがとれない。
  • 将来の投資計画について専門的な知見が必要。
  • 優秀な人材を確保し維持するため、それなりの人件費の確保が必要。そのため、各部門の経費の見直しが不可欠。

 講演後の質疑応答では、各地のまちづくり会社の収益情報の公表のありかたや収益事業の課題について、下記の通り、専門家の意見を求める質問が出され、参加者間で活発な意見交換が行われました。


【質問】
 地元物産を都会で売る物流事業に取り組んでいる。地域貢献度は高いが利益は低く大変。やめたほうが良いか。
【回答】 小川
都会へ地元物産品を流通することによるIターン・Uターン効果も目指しているなら、どんどんやったほうがいい。
【回答】 吉井
まちにとって必要な事業であれば他の事業で補てんし、収益事業全体で利益を確保することを考えればいい。

【質問】
 資本金と市の補助金を元に事業を行っているが、資金が少ないのでできることが限られている。
【回答】 小川
まちづくり会社は、まず、まちのためにやるべき事業を決めて、ビジネスアイディアを出し、リスクを最小限に抑えて実行するという順で考えるべき。

最後に、近畿経済産業局流通・サービス産業課の濁川氏から、中心市街地再興戦略事業費補助金等の情報提供が行われ、本研究会は終了しました。

関連リンク

協議会交流会の活動報告
第19回近畿中心市街地活性化ネットワーク研究会〈大阪市〉
平成25年度中心市街地活性化協議会全国交流会〈東京都〉
第2回四国地域中心市街地活性化協議会交流会(松山市)
戻る