第9回 中部中心市街地活性化ネットワーク会議(豊田市)

日時 平成26年10月15日(水)13:00〜18:30
場所 豊田商工会議所201、202会議室(愛知県豊田市小坂本町1-25)
主催 中小機構中部本部、中心市街地活性化協議会支援センター
交流会次第 第1部
13:00〜13:10 開会挨拶、議長挨拶
13:10〜13:15 開催地挨拶
13:15〜14:45 事例紹介テーマ「空き不動産活用取り組み事例」
       @伊賀市:株式会社まちづくり伊賀上野 森川幸治氏
       A岐阜市:(一社)岐阜市にぎわいまち公社 窪田清明氏
       B豊田市:豊田まちづくり株式会社 杉本恭一氏 
第2部
15:00〜16:10 グループ討議 テーマ「空き店舗(不動産)活用」
16:20〜16:30 発 表 

第3部
16:35〜18:00 基調講演「中心市街地を変える―民間主導・公民連携の
        リノベーションまちづくり」 講師:清水義次 氏
18:00〜18:20 質疑応答等
18:20〜18:30 中心市街地活性化協議会支援センターからの情報提供
参加者数 48名
協議会数 8協議会(他 設立準備中3地域)

交流会概要

第一部「空き不動産活用取り組み事例」紹介

(1)伊賀市 「新天地オトナリ事業」 株式会社まちづくり伊賀上野

 伊賀市からは「新天地商店街」のリニューアル事業が紹介されました。

 「新天地商店街」は伊賀鉄道上野市駅の駅前にありますが、数年前から一部シャッター通りの状態でした。しかし、2012年に隣接地に再開発ビル「ハイトピア伊賀」が開業した後は、近くまで人の流れが戻り始めました。そこで、まちづくり会社が商店街の地権者を説得し、女性客をターゲットにレトロ調の外装の小さい8つの店舗スペースを作りました。

 内装費はテナント負担とし、家賃4-5万円で入居者を募ったところ、40件の応募がありました。2013年4月から雑貨やカフェ、美容院などが順次オープンし、賑わいを取り戻しています。

まちづくり伊賀上野

(2)岐阜市 「美殿町商店街『つくるがある町』プロジェクト」 (一財)岐阜市にぎわいまち公社

 岐阜市からは、柳ケ瀬中心部にある8年間空き家だった古いビルの再生事例が紹介されました。美殿町商店街振興組合(以下「振興組合」)と岐阜市にぎわいまち公社(以下「公社」)が協力し、作り手(クリエイター)が集まる「つくるがある町再生プロジェクト」に取り組みました。

 公社が提案し、元家具店のビルのフロアを小さく区切り、内装仕上げなしのスケルトン状態で貸し出すことにより、家主の内装費負担を抑え、格安な家賃設定が実現しました。壁の塗装など一部の内装工事は、入居者自らプロの指導を受けてワークショップの形で行いました。内装費を抑えるだけでなく入居者間の交流のきっかけになりました。ビルは、ファッションやWebなど様々な分野のデザイナー、建築家など10人のクリエイターのオフィスやアトリエ、カフェに生まれ変わりました。

 さらにその後、振興組合が主催し、このビルを拠点に「美殿町つくる市」というクリエイター参加型イベントを開催しています。ビル前の通りを歩行者天国にして、通り全体をテント張りの出店や展示スペースにして、まちの外からクリエイターと手作りのものが好きなお客様を集め、新たな出会いを生み出しています。

(3)豊田市 空き店舗マッチング事業  豊田まちづくり株式会社

 豊田市からは、豊田まちづくり株式会社(以下「同社」)が駅周辺の廃業店舗を女性向けの飲食店に整備した事例が紹介されました。名鉄豊田市駅から徒歩1分、歩行者専用道路「緑陰歩道」沿いという魅力的な立地を生かし、同社が事業者として店舗コンセプトをまとめ、女性好みのメニューや価格、内外装のデザインを決め、和カフェ小料理店「まめあん」をオープンしました。

 同社は、この事業を民間事業者の参入を誘導する呼び水とするべく取り組み、期待通りこの事業の成功で駅周辺地域に新しい人の流れができ、開店後3年間で14店の飲食店のオープンにつなげることができました。

岐阜市豊田市
第2部 グループ討議 テーマ「空き店舗(不動産)活用」
グループ討議

 「空き店舗(不動産)活用」をテーマに3班に分かれてグループ討議を行いました。各班内で、各地の空き店舗活用についての取り組みや抱える問題を紹介した後、一事例を取り上げてグループ討議し、事例発表を行いました。

(1)豊田市の事例

 中心部では地権者へ提示する賃料が、豊田まちづくり(株)(以下「同社」)より不動産屋のほうが高いため、同社の提示する賃料では貸してくれるところが少ないというのが現状です。単独の空き店舗対策ではなく、同社と商店街が協力し、エリアを魅力的にすることでオーナーの理解を得て、空き店舗を活用する取り組みを行っています。

(2)多治見市の事例

 多治見まちづくり(株)では、商店街の人たちとコミュニケーションを図るため、自主事業として夜間集えるカフェを作ることから始めました。商店街の人たちと話を続ける中で、家主との信頼関係ができ始めました。カフェを中心に人が集まり始め、空き店舗に入りたいという希望者も現れ、同社が開業支援を行っています。

(3)豊田市の事例

 2Fが住居のため1Fの空き店舗を貸せないという家主に、住居用入り口を作る改修工事に使える市の補助金を勧め、貸店舗にしてもらいました。 空き店舗でも貸す気がないという家主に対しては、入居希望者と豊田まちづくり(株)で事業計画を作り、この店舗のおかげで街が魅力的に変わるイメージを家主に具体的に示し、賛同してもらえるようサポートしています。



第3部 基調講演「中心市街地を変える―民間主導・公民連携のリノベーションまちづくり」
清水義次氏

 基調講演として、建築・都市・地域再生プロデューサーの清水義次氏より、公・民連携の新しいまちづくりについて、2つの事例を挙げて講演いただきました。


○事例1 小さいリノベーションまちづくり―北九州小倉家守(やもり)プロジェクト

 北九州市小倉では、2011年から行政・大学・建築家・不動産オーナーなどが中心となり、「北九州リノベまちづくり推進協議会」を作り、半年に1度、リノベスクールを開催しています。4日間のリノベスクールで、廃屋同然の裏通りのビルなどを題材に全国から集まった受講生がチームを組み、具体的な事業提案を考え、ビルオーナーに公開プレゼンテーションを行います。

 これまでにオーナーなど民間の事業者が家守として手を挙げて5つの家守会社ができ、16プロジェクトが事業化に成功しました。オーナー負担で空き家を改装してからテナントを集めるのではなく、リノベスクールでエリアごと変えるプロジェクト案を作り、そこに起業したい人を集め、運営は家守会社が行います。あらかじめテナントを決めたうえで、休眠不動産を3年程度で回収できる少ない投資でリノベーションする計画です。

 この方法で、民間自立型のまちづくり会社による補助金に頼らない不動産再生を行い、メルカート三番街やポポラート三番街など新しいコミュニティ施設ができました。クリエイターや飲食オーナーの新規起業者が集まり、地域全体で300名を超える雇用を生み出しました。魚町3丁目の歩行者通行量もこの4年間で3,103人(3割)増加したという調査結果がでました。

○事例2 大きいリノベーションまちづくり―岩手紫波町オガールプロジェクト

オガールプロジェクト

 10ヘクタールの遊休地となっていた町有地を民間主導の公・民連携事業で再生した事例が紹介されました。

 岩手県紫波町(しわちょう)では、2009年に、「紫波町公民連携基本計画」を策定し、町から全権委任で再生プロジェクトを実施するまちづくり会社「オガール紫波株式会社」を設立しました。「オガール」はフランス語の「ガール(駅)」と紫波の方言で「成長」を意味する「オガル」を合わせて名付けられました。

 このプロジェクトでは、民間事業として公共施設と民間施設を一体として開発し、完成後、紫波町に公共部分を売却する計画としました。売却分以外の資金調達については、補助金に頼らず特別目的会社を作り、民都機構による出資と民間金融機関の融資を受けました。

 2012年に駅前広場「オガール広場」と図書館・情報館・民間テナントが入る「オガールプラザ」がオープンしました。「オガールプラザ」は、地場産木材を使った落ち着いた空間に、産直マルシェや図書館、本格的なコーヒーが飲めるカフェ、子育て支援センター等を集約しています。

 まちづくり会社は、上記の産直マルシェや図書館、カフェに民間テナントを組み合わせた確実に集客が見込める事業コンセプトを民間事業者に示し、計画段階で飲食やクリニックなどのテナントを固めました。その後、事業規模や建設費用を見直し、当初計画の3階建てから2階建てに規模を縮小したことで建設コストが下がりました。また、民間発注で公共工事よりも2-3割コストを削減することができました。補助金を受けて設備を整備しても、その後の運営費の負担と集客ができずに失敗する自治体も多い中、民間主導で事業計画を立て適正コストの事業を実施することで、短期間で黒字化できる事業を実施した事例です。

 以上、事例紹介、グループ討議、基調講演により、参加者間での活発な意見交換、情報交換が行われ、本交流会は終了しました。

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