まちづくり会社訪問

(株)出石まちづくり公社

出石観光協会HPより
取り組みのポイント
  • 配当を生み出すまちづくり会社
  • 町民に支えられたまちづくり
  • 魅力のある個店の存在
1.出石まちづくり公社の概要
会社名: (株)出石まちづくり公社
所在地: 兵庫県豊岡市出石町
設立日: 平成10年6月
資本金:9,800万円(発行済株式総数1,960株)
主な
出資者:
豊岡市、但馬國出石観光協会、豊岡市商工会、出石町民など合計334名
 (豊岡市400株、但馬國出石観光協会100株、豊岡市商工会60株、その他1,400株)
従業員: 23名(正社員8人、契約社員2人、パート6人、シルバー人材派遣7人)

2.まちの概要
位置・人口

 豊岡市は兵庫県北東部の但馬地域に位置しています。 人口は約9万人で、平成17年4月1日に豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町、但東町の1市5町が合併し発足しています。

交通アクセス

 豊岡駅までは大阪駅から列車で約2時間半、バスで約3時間かかります。また、コウノトリ但馬空港からは車で30分程度となっています。

伊豆氏焼の小皿に盛られた「出石そば」
まち(出石町)の特色

出石町は豊岡市の南に位置しており、市街地は中心地から北へ新興住宅地が広がり、その外周を農村地域が取り巻いており、さらに緑豊かな山林が周囲を包み、盆地を形成しています。  町割が碁盤の目状になっており、町屋が立ち並び城下町の風情を残していることから、「但馬の小京都」と称されており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。  その町並みの魅力に加えて、「出石皿そば」や「出石焼」などの特産品もあり、年間70万人近くの観光客が訪れています。


3.まちづくり会社の取り組み
(1)出石まちづくり会社の設立
出石びっ蔵

 出石町(豊岡市)には20数年来、観光や宣伝に取り組んできた但馬國出石観光協会があり、観光センターやそば店の経営を行っていましたが、観光客の増加とともに事業拡張が求められ、それに呼応して、独立、法人化の声が高まりました。また、出石町では元々、町民によるまちづくり活動が盛んであり、こうした背景の中、町民の活力と発想を活かした第3セクター設立の機運が高まり、平成10年6月に出石まちづくり会社が設立されました。

(2)出石まちづくり会社の事業概要

1.いずし観光センター売店
 出石まちづくり会社の直営店。特産物の販売等。
2.観光ガイド
 有料観光案内(町内の文化・歴史の紹介など。)
3.ハーブショップ香りの城
 地元ハーブ農園等の生産加工品の普及販売。
4.集合貸店舗 「出石びっ蔵」
 連なる蔵を模した「出石びっ蔵」の賃貸。全国4大産地の「豊岡かばん」や地元の職人が仕上げた籐製品を販売する店舗などが出店。「出石びっ蔵」を建築する際は、補助金を活用(補助率…国:2分の1、県:4分の1)。
5.各種イベント参加
 出石の観光に関するイベントへの参加・協力。
6.空き地空き店舗有効活用
 情報の収集及び発信。

大手前駐車場
 

7.大手前駐車場
 観光客用の駐車場の管理運営。普通自動車1日400円。
8.いずしトラベルサービス
 旅行代理店業。地元の利便性向上と観光客誘致目的としている。
9.芝居小屋「出石永楽館」
 明治34年に開館した近畿最古の芝居小屋の運営。建物は豊岡市が所有しており、出石まちづくり公社は指定管理者となっている。
10.旅籠「西田屋」
  伝統建築の町屋を再利用・再活用した宿泊施設。

出石まちづくり公社の平成22年度の総売上は2億円近くあり、6百万円弱の経常利益を計上しています。主な売上としては売店等の売上で約1億円、駐車場収入で約2千万円、トラベルサービスで約2千万円。

(3)株主への配当

 出石まちづくり公社はまちづくり会社としては珍しいことに株主に配当を行っています。低金利時代にもかかわらず、平成22年度でも1.5%と高い配当率を保持しています。


(株)出石まちづくり公社 損益計算書

 第11期
(平成20年度)
第12期
(平成21年度)
第13期
(平成22年度)
売上高209,620千円203,979千円191,087千円
売上げ総利益93,458千円97,413千円87,429千円
経常利益13,436千円17,208千円7,881千円
当期純利益8,536千円10,948千円5,771千円
株主配当3.0%3.0%1.5%
(4)町民に支えられたまちづくり

出石まちづくり公社が安定した収益が生み出せているのは毎年、70万人程度の観光客を確保できているからです。売店の売上にしても、駐車場収入にしても、観光客の数がそのまま影響してくるので、観光客が増えれば増えるほど、比例して出石まちづくり公社の収入も増加します。

その観光客の確保が達成できているのは、町民が一体となってまちづくりに取り組んでいる点にあります。出石町の町民のまちづくりに対する意識は大変高く、その表れとして、観光協会はもとより、出石城下町を活かす会、女性たちのまちづくり会議など多数のまちづくり組織が結成されています。また、出石まちづくり公社を設立する際も、配当する予定がない状況で出資を募ったにもかかわらず、たくさんの希望者が現れ、1人1株と制限しなければならいないほど、町民のまちづくりに参加する意欲は高いものです。

何より、出石町では観光地域と町民の生活地域が一体となっています。立ち並ぶ町屋は商業者のみが活用しているのではなく、実際に多くの町民が生活しています。

また、出石焼の小皿に盛られて出される「出石そば」は町外からそばだけを食べにくるリピーターも多くいて、町なかには40店舗ほどありますが、その他にも地元の無農薬の農産物を加工した土産物を提供する「グリーン出石」や自家製の餅米を使用したおはぎを販売する「田吾作」など観光客だけではなく、地元の町民たちもリピーターとなって買いに来る、ファンができるほどの魅力的な店舗がいくつも存在していることも町なかのにぎわいを創出している要因となっています。

4.今後の課題

 町屋の空洞化、観光客の減少、後継者不足などが課題となっています。町屋の空洞化に対しては旅籠「西田屋」のように宿泊施設として空き家を活用するなど、空き店舗への誘致を図っていく予定です。また、観光客の減少に対しても、近畿最古の芝居小屋である出石永楽館に歌舞伎を誘致することで、再び町への求心力を高め、観光客の増加につながるように努めています。

旅籠「西田屋」



5.関係者の声、まちの声

 今回取材させていただいた出石まちづくり公社の社長が、「町の誇りを持てるようなものがあることが大事」とおっしゃっていましたが、町民が自分の町に誇りを持ち、自信を持っているからこそ、町の魅力を発信したいという気持ちが生まれ、まちづくりに取り組む原動力になっているのだと思いました。




出石永楽館
6.取材を終えて

今回の取材で感じことはとにかく町全体が自分の町を盛り上げていこうという気概に溢れているということです。 観光地として行ってみたくなるだけではなく、町の中に住んで、生活したいと思わせてくれる魅力的な町でした。そのような町の町民に後押しされて設立され、支えられているまちづくり会社が配当を生み出せるほど安定的な経営を行えていることに大変納得がいきました。

参考URL: http://www.izushi-tmo.com/index.html

取材年月:平成23年7月

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