HOME > 協議会・地域の活動状況 > 協議会・まちづくり会社訪問(新着順) > 公共空間の活用事業を円滑に推進していくには ~豊田市中心市街地活性化協議会~

公共空間の活用事業を円滑に推進していくには
~豊田市中心市街地活性化協議会~

リード文

公共空間を活用した活性化策が愛知県豊田市で進んでいます。豊田市駅西口ペデストリアンデッキの多目的活用や、都市公園などにさまざまな事業者が店舗を出店し、市民に商品・サービスを提供する、あそべるとよたプロジェクト、STREET&PARK MARKETなどです。

一般的に、公共空間の活用は様々なハードルが存在します。豊田市では、先ほど例に挙げたSTREET&PARK MARKETを実施するには、公園を管理している市の許可や近隣の自治会・商店街のコンセンサスも必要です。出店者の管理や当日の運営を行うために豊田シティセンターマネジメント(以下TCCM)の構成委員である商工会議所やまちづくり会社のスタッフも必要になります。さらに、人を呼ぶには魅力的な空間演出が重要ですから、デザインや建築関係者の参画・協力も必要になるかもしれません。

このような複数の関係者が存在する事業を成功させるには、関係者との調整や同意が必要になります。この各組織や部署との調整や合意に対して個別対応をしていたのでは時間がかかります。豊田市では中心市街地活性化協議会(以下、協議会)のスキームを活用し、合意形成や事業推進計画・進捗などを効率的に進めています。豊田市は第1期基本計画時から第2期基本計画移行時に事業推進体制、すなわちTCCMの運営に関して大幅な改善を行いました。

参考リンク) 事業推進体制の改善を図った豊田市中心市街地活性化協議会(詳細記事)新規ウインドウ表示

その豊田市の事例を参考にしながら、今あらためて協議会の役割を確認していきたいと思います。


写真.STREET&PARK MARKETの様子

関係者間の調整、合意形成、及び中活事業の推進を図る仕組み

豊田市の関係者間調整の特徴は、①協議会、②タウンマネージャー(以下、TM)、③協議会の内部組織であるTCCMのそれぞれが活動し、連携していることにあります。それぞれの役割を以下に述べます。

1.豊田市中心市街地活性化協議会(全体会)

協議会では、基本計画内容・事業内容・事業進捗状況などを周知・合意形成を図っています。協議会の構成員は中心市街地活性化法にもとづく組織・団体を中心に構成され、協議会は年に2~3回程度開催されます。構成員には自治会長や商店街の理事長なども含まれており、さまざまな事業について理解・協力いただける体制を作っています。

2.TM

豊田市では、協議会の会長から指名を受けたTMは以下のような活動を行います。
TMは中活事業等の推進について協議会での周知・合意形成をはじめ、場合によっては市長や商工会議所の会頭などの関係者に対しても理解をはかり、事業を行う人が活動しやすい環境を整えます。つまり、TMはプレイヤー(稼ぐ人・楽しむ人)ではなく、マネージャー(下支え)的な存在になっています。


写真.TMの河木氏

3.TCCM(協議会の内部組織)

(1)TCCMの基本構成員とその役割

中心市街地活性化協議会の下に置かれ、協議会の承認の元に活動しています。協議会の承認があることでTCCMは積極的に基本計画の推進・実行に関しマネジメントを行えます。構成員は、豊田まちづくり株式会社4名、豊田市商工会議所3名、豊田市商工観光課3名、建築士2名、TM1名の計13名(平成29年2月時点)です。ただし、事業に応じて組織メンバーは柔軟に対応できるようになっています。TCCMは、少人数で構成されることで責任権限の明確化が図られるとともに、迅速な意思決定や行動修正が容易になります。

TCCMのトップはTMで、TMがTCCM会議で司会進行やアドバイスを行います。これによりTCCM構成員が行動しやすくなり、縦割り構造の弊害が減少されます。また、TMは必要に応じてTCCM構成員を招集することができます。TCCM会議は月一回が定例ですが、事業推進の進捗に応じて随時開催ができるので、スピード感のある事業実施ができるようになっています。

また、TCCMには、事業の許認可に対応する行政のメンバーや、事業推進の相談窓口や運営管理を行う商工会議所やまちづくり会社などのメンバーが揃っているので、事業推進上必要なさまざまな機関との調整に柔軟に対応できます。それにより、さらに組織間の縦割りの弊害を減少させることができます。加えて、TCCMは事業推進を図るために、実施計画の立案、段取り、進捗管理などのマネジメントを行います。これらをTCCMは、市民、商店街店主、行政などと積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築しながら進めていきます。

なお、TCCMには商業観光課などの行政や商工会議所も参画していることは、行政担当者などが部署異動した時も、新任担当者がTCCM会議などに参加することで、これまでの事業の経緯や現状などを知ることができるので、異動による事業停滞などのデメリットを減少させることができます。

なおTCCMは平成29年2月に法人格を取得し、『一般社団法人TCCM』として責任と権限を明確にしたまちづくり機関として事業を推進します。

(2)基本構成員以外のTCCM参画者

TMは、基本構成員以外の方にTCCMへの参画を要請しています。TCCMが今のような活動を維持するためには、市民や事業主といったまちづくりプレイヤーの確保が必要になります。これまで述べたようなTCCMの役割を遂行するには、主体的に行動できる人材(プレイヤー)の発掘・育成が不可欠です。TMは現行の事業活動を通して、どれだけ主体的にまちづくりに関われる人材かを見極め、人材確保に努めています。

また、まちづくり事業のさらなる活性化のため、街まちなかの潜在的なまちづくりプレイヤーを予見して彼らが自ら活動しやすくなるような環境を作っていきたいとTMは語ります。特に、若者が自然に集まる場と機会を提供したいと考えています。

まとめ 協議会を活用することの効果

官民連携のまちづくりの象徴的な存在である中心市街地活性化協議会。協議会のスキームは各地で柔軟に活用されています。例えば、行政は公平性や透明性が求められますが、協議会内でコンセンサスが取れた事業に対しては、行政は認可など協力がしやすくなります。協議会が市に働きかけることで公的スペースでの出店などを可能にしやすくなります。

また、商店街の各個店の売上といった調査事業を行う際、株式会社であるまちづくり会社や、市役所が調査しても情報が得られない場合では、個店と近い存在にある商工会議所を中心に協議会として活動すれば、情報収集できることもあります。

加えて、TCCMの活動にあるような、しっかりマネジメントを行った事業内容が協議会を通して行政に報告がなされれば、行政はそれを元に市民にまちづくりの現状を説明しやすくなり、市民のまちづくりに対する理解が深まる効果も期待できます。

そして協議会として、まちづくりの担い手(人材)たちが、まちなか(中心市街地)で活性化に資する新たな事業を展開することを理解・支援していくことも大きな役割であり、活用の効果であるといえます。


写真.TCCMのメンバー

取材日:平成29年1月8日

協議会・まちづくり会社訪問へこのページの先頭へ