協議会訪問

山口市中心市街地活性化協議会

取組のポイント
  • 活発な情報提供事業
  • 中心市街地活性化の必要性をマンガで紹介
  • 協議会広報誌を市内全戸に配布

1.中心市街地活性化への取組

(1)1期中心市街地活性化基本計画

 平成19年5月に認定された山口市中心市街地活性化基本計画(以下「1期基本計画」)は、1年延長され、平成25年3月に満了しました。

 1期基本計画の期間中、空き店舗を活用し市民活動支援センターを整備するなどの、まちなかのサービス機能を充実する事業、撤退店舗の建て替え(商業等の複合施設:どうもんパーク(西地区)、商業施設:マルシェ中市(東地区))や山口市中心商店街連合会(以下「中心商店街」)のホームページ(以下「HP」)の立上げ等まちなかの商業を活性化する事業、借上げ型市営住宅の整備を始めとする、まちなか居住を促進する事業、河川整備と川沿いの市道の電線地中化等による自然と文化の薫るまちの創出事業に活発に取り組みました。

 その結果、居住人口の増加や通行量の減少に歯止めをかける等、一定の成果を得ることはできましたが、厳しい社会経済情勢の中、中心市街地が抱える諸課題を十分解消するまでには至りませんでした。

 そこで、1期基本計画の課題を再整理し、段階的に課題解決していくための実行計画として次期基本計画の策定に取り組むこととしました。

 その前段として、市民とまちなか(中心市街地)居住者に対するアンケート調査を実施しました。



中心市街地区域


(2)市民・まちなか(中心市街地)居住者アンケート調査(平成25年1月〜2月実施)

 「市民アンケート」は、山口市民に対して、「中心市街地の利用状況」「中心市街地のイメージや街の魅力」等について行われました。
(調査方法:住民基本台帳から18歳以上を対象に、無作為に約3,000人を抽出)
 一方、「まちなか(中心市街地)居住者アンケート」は、中心市街地区域(75ha)の住民に対して、「中心市街地の生活環境」「住まいの満足度」等について行われました。
(調査方法:中心市街地に居住している世帯を対象に、約1,000世帯を抽出)

 アンケート結果の概要は次のとおりです。

●市民アンケート

「中心市街地の魅力」
「アーケードがあるので天気に左右されず外出できる」
「市役所等の各種施設がある」「専門店がある」
「魅力を感じないところ」
「活気がない」「空き店舗が増えてきた」
「充実して欲しい施設」
「駐車場」「休憩所・広場」「公衆トイレ」「文化施設」

●まちなか(中心市街地)居住者アンケート

「住まいの満足度」
「満足・まあ満足している」が8割弱
「居住地として中心市街地に不満なところ」
「家や設備が古くて使いづらい」「火災の延焼や 地震の倒壊が心配」「車が家の前まで入らない」

 以上の調査結果から、平成18年6月に実施した市民アンケートと比較すると、中心市街地に魅力を感じている人の割合が減少しており、いかにして魅力を高めていくかが今後の課題となりました。
 また、居住者アンケートでは7割を超える方が現在の住まいについて満足しているものの、一方で古い住宅が多く、火災や地震への不安など防災性、安全性に対する満足度が低くなっていることが判明しました。

(3)2期中心市街地活性化基本計画(以下「2期基本計画」)

 2期基本計画は1期基本計画満了の翌年、平成26年3月に認定され、同年4月から平成31年3月を計画期間としてスタートしました。  2期基本計画は、第1期計画で行った各種事業の効果を持続・発展させながら、活性化に向けた課題を解決するため、以下のとおり基本方針、目標が設定されました。

■基本方針
  • 様々な交流機会の創出によるにぎわいのある中心市街地の形成
  • 地域資源を活用した経済活動による活力のある中心市街地の形成
  • 個々のライフスタイルに合った安全で快適に暮らせる中心市街地の形成
■目標
目標指標基準値 目標値
商店街等通行量
(休日)
※11地点調査
55,294人
(H24年度)

増加
58,000人
(H30年度)
中心商店街の
空き店舗数
45店舗
(H25.6)

改善
30店舗
(H30年度)
居住人口の
社会増減
168人増
(H20〜H24年度)

増加
250人増
(H26〜H30年度)



2.協議会の情報発信事業


  2期基本計画は、1期基本計画の成果を踏まえ、より市民生活に近い部分に視点を置いた取組になりました。
 協議会では、多くの計画事業の取組をより着実に推進するには市民の中心市街地活性化に対する理解が不可欠と考え、「情報提供事業」を推進することにしました。

 ところで、一般的に中心市街地活性化に関する事業は、ハード・ソフト両面にわたり広範ですが、そのため、個別の成果(ハード・ソフト)が部分的には見えても、取組と目的・効果の全体を見渡し、理解することがとても困難です。

 一方、これら事業の成果や利益を最終的に享受し利活用するのは市民ですので、各事業の着実な推進に、市民の一層の理解は大きな下支えとなります。

 これを背景に、協議会では、広報誌による情報提供事業を開始しました。
 なお、HPによる中心商店街の情報提供は、協議会から中心商店街による取組となりました(後述)。



(1)協議会広報誌「くるーニャッ!やまぐち」
くるーニャッ!やまぐち

 協議会の広報誌「くるーニャッ!やまぐち」は、1期基本計画が満了した3カ月後の平成25年6月に創刊号が発刊され、以降、毎年1回発行されています。

 発行の目的は、中心市街地活性化が山口市にとってなぜ必要なのかを、関係者だけでなく広く市民に周知することにより、中心市街地活性化に対する市民の理解と参加、そして、まちなか居住の促進や来街者の増加を促すこととしています。

 誌面内容は、中心市街地活性化の必要性を、中学生が読んでも分かる表現で紹介するとともに、単なる情報の羅列ではなく、取組の経緯やこれを支える人物等を写真やイラストを多用し、多くの市民に中心市街地への関心を高めてもらい、自身にかかわるものだと理解してもらい、まちなかに住んでもらうことや訪れてもらうことをねらいにしています。

また、配布される範囲は市内の全世帯で、「市報やまぐち」とともに配布されています。

 なお、発行部数は80,000部で、情報提供事業の予算として山口市から協議会へ委託料(約170万円)が支払われています。

 なお、創刊号から第3号までの概要は次のとおりです。

●創刊号
H25.6
  • 山口市中心市街地エリアの歴史を踏まえた紹介
  • 中心市街地活性化の意義と1期基本計画のコンセプトと取組事業の紹介
  • 山口市中心市街地エリアでまちづくりに活躍している方と新規出店者の紹介
●第2号
H26.4
  • 猫のタマをキャラクターに、中心市街地活性化の必要性を「マンガ」で紹介、あわせて、中心市街地の将来像を紹介
  • まちづくりに取組んでいる市民団体代表者の紹介
  • 新規出店のお店と経営者の紹介
●第3号
H27.4
  • 猫のタマにより、中心市街地活性化の必要性を「マンガ」で紹介
  • 2期基本計画事業をイラスト、写真を活用し紹介
  • 新規出店のお店と経営者の紹介
  • 業種転換したお店と経営者の紹介

「くるーニャッ!やまぐち」が発行されるまでの作業は、発行月の4月を目指し、前年6月頃から始まります。
 編集担当は、以下の4者です。

  • 協議会タウンマネージャー(以下「TM」)
  • 行政
  • 協議会事務局(商工会議所)
  • 編集・出版会社

先ず、構成のページ割当が行われ、内容ごとのページ数が決められます。
 次に、誌面内容と割付や写真・イラストの活用等を1ページずつ固めていき、逐次取材が並行して行われます。
 編集会議はほぼ毎月開催され、その都度調整と修正が繰り返され、翌年4月に発行となります。

くるーニャッ!やまぐち

参考URL
くるーニャッ!やまぐち 創刊号「山口市中活エリアってどんなところ?」(PDF:11.9MB)
くるーニャッ!やまぐち 第2号「マンガでわかる!中心市街地活性化の必要性」(PDF:9.4MB)
くるーニャッ!やまぐち 第3号「なぜ、中心市街地の活性化が必要なの?」(PDF:14.0MB)
くるーニャッ!やまぐち 第4号「どうして、中心市街地の活性化が必要なの?」(PDF:12.7MB)

(2)中心商店街ホームページ「山口街中」
山口街中

 HPは、1期基本計画がスタートした2年後の平成21年に協議会事業として開設されました。
 これにより、中心商店街の催しや個店の紹介等の情報提供が行われ、情報発信機能の基盤が築かれました。
 その後、平成24年に協議会運営から中心商店街の運営にかわりました。

そして、これを機にHPをリニューアルし、さらに情報発信力を強化することになり、これには中心商店街に新たに設置された「HP委員会」が担当することになりました。
 このHP委員会のメンバーは、中心商店街を構成する7商店街単位の選出ではなく、このHPをもっと市民に利活用してもらいたいという意思を持っている熱意ある方を募集し、現在7名が就任しています。

 リニューアル内容は次のとおりです。

  • 各個店情報の市民により伝わりやすいかたちへの整理と充実
  • 個店に情報発信(更新)機能を追加
  • 山口サポートセンターHPとのリンク
    (山口サポートセンターの業務:イベント・空き店舗情報の収集と発信、商店街への出店に関する支援)
  • 空き店舗対策に関する各種支援制度の情報発信
  • 商店街イベントの発信に加えHP独自の販促イベントの企画・実施
  • 新たな情報発信チャネルとして、フェイスブックの活用

 これらの取組により、HPへのアクセス数は当初の3〜4倍に増加し、平成26年には、中心商店街販売促進委員会に「HP担当」が設置されるまでになりました。
 また、現在、スマートフォン等で利用できるアプリの開発が検討されています。
 なお、協議会としては、HP委員会と適宜連携をとる等、協調した関係が継続しています。




3.関係者の声


 協議会TMの有田實氏は、「広報誌は、市民に山口市が進める中心市街地活性化はどのような事業内容で、その目的は何なのか、そして開業店の紹介等を通じて、まちなかに足を運んでもらうことをねらいにしています。現在、第4号の企画・編集作業に入っていますが、“中心市街地活性化はなぜ必要なのか?”は継続して取上げる予定です。市民への広報誌としての浸透は、思っている以上に認知されているように感じます。実は、エリア内を学区にしている小学校から5年生全員(150人)を対象に、授業として山口市の中心市街地活性化について話してほしい旨の依頼を受けています。」と、また、協議会の山本宗司氏は、「市民の広報誌に対する関心は相当定着しているように思います。裏表紙に“ご意見を聞かせて下さい。”のコーナーがあるのですが、これまでに10数件の意見が市民から寄せられています。」と語られました。



有田實氏

4.取材を終えて


山口市で取組まれている、中心市街地活性化の必要性を「マンガ」で紹介しているということには、たいへん驚かされました。イラストや図での紹介は各地にありますが、「マンガ」で中学生にもわかる文章表現というのは、老若男女すべての市民に分かってもらおうということですので、他の地域ではあまり例のない取組だと思います。
 しかも、その反響は小学校にも及んでいます。
 この協議会広報誌の発行にあたっては、鳥取県・米子市で基本計画期間中発行されていた「よなご・かえる通信」を参考にしたそうです。
 地域で各種事業が実施され、そしてその意味や全体像が市民に理解され、結果として取組事業の下支えとなり、また一層推進されるという姿を実現することはとても難しいと思いますが、山口市ではこれが一歩一歩前進しているようです。



取材:平成27年9月



山口市の概要
山口市の位置

山口県のほぼ中央に位置し、人口は20万人弱の県庁所在都市としてはコンパクトな市です。
 平成17年に新幹線小郡(現新山口)駅のあった小郡町他3町と合併しました。
 交通では、新幹線新山口駅から山口駅までJRで23分です。
 市内に、湯田温泉や山口ザビエル記念聖堂、瑠璃光寺(五重塔は国宝)等があり、年間観光客数は400万人以上を数えます。



協議会の概要
協議会名:山口市中心市街地活性化協議会
所在地:山口県山口市中市町1-10
(山口商工会議所内)
設置日:平成18年9月25日
構成員:19名
法定組織者【都市機能増進】株式会社街づくり山口
【経済活力向上】山口商工会議所
参考URL: 山口市中心市街地活性化協議会

関連リンク

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外部リンク
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