協議会訪問

府中市中心市街地活性化協議会

取組のポイント
  • 中心市街地活性化協議会によるまちづくり機運の醸成〜まちづくり活動を行う中心市街地活性化協議会〜

1.中心市街地活性化協議会の構成員によるまちづくりの活動

(1)まちづくり活動のアイデア出しからのスタート

広島県府中市

 中心市街地活性化協議会(以下「協議会」)が設立された平成19年当時、広島県府中市では、民間の事業者がまちづくり活動を行うような機運にはなっておらず、そのための体制や予算も十分な状況ではありませんでした。

 タウンマネージャーとして着任した原田弘子氏は、まずは協議会の構成員15名にやりたいことを話し合ってもらい、事業を発掘していくことからスタートさせました。付箋紙と模造紙を使ってワークショップを行い、「府中の魅力」や「目指すべき中心市街地像」について意見を引き出していきました。

 ワークショップの開催に当たり、当初、協議会の構成員からは「なぜこのようなワークショップをやらなければならないのか」といった意見も出されましたが、原田氏はそれに臆することなく皆で意見を出し合うことの重要性を説明し続け、ワークショップを着実に実行していきました。

 通常、地元の有力者が集まる協議会において、ワークショップを行うことは難しいと感じられますが、よそ者である原田氏の立場やキャラクターと、地域内で強い存在感を出している府中商工会議所がワークショップを招集したため、協議会の構成員が前向きに参加してくれました。また、協議会構成員に、商店街の元気な女性3名が入っていたことも、ワークショップが着実に実行されていくことへとつながりました。

 ワークショップで出された意見については、「歴史文化」「企業参加」「まちなか美化」「市民コミュニティ」の4つに整理し、構成員はそれぞれのグループに分かれて、中心市街地で活動を行うに当たり必要な事項について検討を続けました。

ワークショップで話し合われたこと

第1回 「府中の魅力」とは何か
  
府中市の中心市街地活性化の舵を取る協議会において、活性化ビジョンを共有する目的で、府中の魅力について意見を出し合った。
 
第2回 「目指すべき中心市街地像」は何か
 
第1回のワークショップを踏まえ、府中をどんなまちにしたいかアイデアを膨らませた。
 
第3回 第1回・第2回のまとめ
  
協議会として「目指すべきまち」の方向性を確認し、6カ条の宣言としてまとめた。また、事業案を抽出し、事業分野ごとに委員会をつくり、事業を具体化していく方向性を確認した。
 
第4回 事業アイデアの抽出
 
 ワークショップで出された意見をもとに、4つのグループ「歴史文化」「企業参加」「まちなか美化」「市民コミュニティ」に分かれ事業案を検討した。
 
第5回 事業アイデアの検討
  
第4回で出されたアイデアについて、実現可能性(資金・人材)を各グループで検討した。
 
第6回 ワークショップのまとめ
  
各グループでの検討結果を発表した。

(2)まちづくり活動をいかにして実行していくか

タウンマネージャー原田弘子氏

 全6回のワークショップが終わった後、各グループをもとに4つの委員会を組成し、協議会の構成員全員が4委員会のいずれかの委員となり、具体的な事業を検討していきました。

 そして、委員会で検討した事業については、委員自らが実働部隊となり、動かすこととしました。戸惑っている委員がいる場合は、タウンマネージャーの原田氏が実現に向けて誘導していき、4つの委員会で検討された各事業が、委員自らの手により実行されていきました。商工会議所の職員も、専務理事の和田達雄氏を中心に、多くの事業を成功に向けて裏方として支えていきました。

 特に、企業参加委員会が実施した府中メーカーのアウトレットセール「来てみてびっくり!アウトレット祭り ふちゅう玉手箱市」の事業は、多くの集客をして大盛況となり、それが他の委員会を刺激していました。

 協議会では、毎年、年間活動計画を作り、そのなかに委員会の活動も位置づけられていきます。そのため、委員会での事業活動は単年度で終わらず、毎年、継続されていきました。

府中市中心市街地活性化協議会
【協議会の構成員全員が以下4委員会のいずれかの委員を担当】

    (1)まちなか美化委員会(4名):花や緑を通じてまちに潤いをもたらすことを目的に活動
  • 補助金に頼らず、自己資金を稼ぐことからスタート。委員の人脈で安く仕入れた花の苗等を地域イベントで販売したり、「花の寄せ植え教室」を開催したりするなどして、自己資金を確保。
  • 建物が取り壊されて更地となったまま、仮囲いに覆われていたスペースをまちなか植栽活動の場として利用。
  • 原田氏が、市と不動産オーナーをコーディネートし、市が不動産オーナーより土地を賃借する仕組みを作り上げる。
    (2)市民コミュニティ参加委員会(3名):市民がまちづくりに参加するきっかけを作る
  • 市民に中心市街地の活性化に関心を持っていただくため、ワークショップ「まちづくり交流会」を開催し、意見交換を実施。
    (3)歴史文化委員会(4名):府中の歴史を市民に知ってもらう
  • 「備後府中みどころガイド」の作成。
  • 「歴史的建築物等現況調査」の実施。
  • 「府中まち再発見ウォーキング」「府中まち巡りウォーク」の開催。
    (4)企業参加委員会(4名):府中の大きな資産である企業の力をまちなかに活用していく
  • 「来てみてびっくり!アウトレット祭り ふちゅう玉手箱市」の開催
     ものづくりのまち府中をPRするため、家具、繊維、食品などの府中産品のメーカーがアウトレットセールを一斉開催。(平成20年の集客8,000人、平成21年の集客15,000人。)


(3)「協議会によるまちづくり活動」からの発展

 協議会の構成員は、委員会の委員として任命され、その使命感に基づいて、できる範囲での活動をしています。自身が収益を得たり、楽しんだりしたいという動機が必ずしも先にあって、まちづくり活動を行っているわけではないため、今後の活動の継続性は担保されるわけではありません。また、活動に対して徐々に飽きを感じるようになる可能性もあります。そのため、協議会が事業主体として活動している間に、地域の中で、次の事業実施主体を生み出していく必要があります。

 そして、事業を生み出す際は、企業活動、個人の趣味、自己実現のために行動した取組が、結果的に、地域の活力を生み出し地域の魅力づくりとなるように、上手にコーディネートしていくことが望まれます。

 府中市においては、上記のことを踏まえ、「協議会による事業実施」からの発展へとつなげていきました。協議会の構成員が事業を実施する際は、興味のある者も巻き込んでいき、その新たに加わった者の活動が、草の根の活動へと続いていくようにしました。

 市民の間でネガティブに語られることが多かった中心市街地が、小さくてもさまざまな活動を続けていくことで、ポジティブに語られる機会が多くなり、それにより活動したい人が更に集まってくるという循環が生み出されていきました。

 平成23年からは、若手事業者が自らやってみたいこと、具体化してみたいことを事業化する組織(NPO法人府中ノアンテナ)が生まれ、活動が続けられています。それにより、中心市街地での活動主体は、協議会の構成員から、新しく生まれた主体へと移行していきました。

府中市に残る歴史を感じさせる建物

2.協議会による活動の成果


 タウンマネージャーの原田氏が着任して最初の3年間は、なかなか成果が出せず、厳しい視線を浴びたこともあったそうですが、現在は、地域内にさまざまな新しい動きが出てきました。

 商店街の店舗経営者で、まちなか美化委員会で活動することになった委員の1人は、当初、「自分にできることがあればしていこう、まちのために時間を使おう」と思って、できることから活動を始めたそうです。商店街にフラワーポットを設置していきましたが、活動を続けた結果、商店街の中央にあった空き地に植栽することへとつながりました。まちなかの空き地を覆っていた仮囲いが撤去され、素敵な植栽のある公園が生まれたことで、街のイメージが一変し、空地の隣の空き店舗には、民間によるビルリノベーションが行われるまでに、街が変化していきました。

 たとえ小さな事業でも、取組をスタートさせることの大切さを改めて感じさせられます。今後、府中市で起こるさまざまな活動に期待が集まります。



空き店舗


広島県府中市データ
位置:
広島県の南東部(南に福山市と尾道市に接する)
人口:
約42,000人
産業:
機械金属工業・繊維工業・家具工業・食品工業など多種多様な地場産業が集積。人口1人当たりの工業出荷額は、全国でも屈指の地位を確立。
まちの特徴:
歴史を感じさせられる建物が数多く見られる。また、府中焼き(ミンチ肉の入ったお好み焼き)の店が、中心市街地を中心に市内に38店舗存在する。
協議会データ
協議会名:府中市中心市街地活性化協議会
所在地:広島県府中市
設置日:2007年9月26日
構成員:15名
法定組織者:【都市機能増進】府中市まちづくり振興公社
【経済活力向上】府中商工会議所
主な構成員: 株式会社恋しき、府中市、西日本旅客鉄道株式会社岡山支社府中鉄道部、府中市商店街連合会、府中市金融懇談会、府中市観光協会、石州街道出口地区まちづくり協議会、地元事業者3社
参考URL府中市中心市街地活性化協議会

参考文献

タウンマネージャー 「まちの経営」を支える人と仕事 石原武政編著 学芸出版社

府中市中心市街地の取組状況

小中学校の開設でまちに賑わいが復活

<取材日H25年8月>

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